土地活用コラム

遺産分割協議における「負」動産の取り扱いについて

今回は、遺産として「山林」や「野原」の不動産があるものの、どの相続人も引き受け手がいない場合に、一般的にどのような帰結となるのか説明します。

 

 


1.遺産分割における不動産評価の原則

①土地

土地の相続税申告における土地の評価額は、「路線価」を基準に面積掛けをした上で、形状などを踏まえて増減の修正をします。この場合、路線価自体が「時価」よりも低く設定されています。路線価は、時価の約80%と解説している文献が多いです。

 

 

②建物

相続税申告における建物の評価額は、「固定資産税評価額」となっています。こちらは時価と乖離していることが大きく、特に賃貸マンションのような収益物件では時価よりもかなり低くなっています。

 

 


2.山林や野原は?

「負」動産でも、相続税の申告では路線価や固定資産税評価額とすることもありますが、無価値として「ゼロ」で計算することもあります。


3.「ゼロ」でよいのか?

「負」動産は、所有しているというだけで、諸々の責任があります。固定資産税の負担は大した金額ではないことが多いですが、一番やっかいなのは、倒木・落枝・山火事などで他人に損害を与えた場合、民法717条の「土地の工作物責任」や709条の不法行為責任により損害賠償えお負う可能性があり、道路にはみ出した枝などの危険を予見できたのに放置していたと判断されると責任を問われやすくなるため、日常的な点検・伐採などの管理義務があるとされています。すぐに売却ができる見込みもないのに、大きな義務を負われるということで、遺産分割協議においては「押し付け合い」となっているのが実状です。

 

 


4.「相続土地国庫帰属制度」は利用できるのか?

誤解をされている方が多いのですが、「負」動産を国に引き取ってもらうのは、かなりハードルが高いです。むしろ「無理」に近いものがあります。境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地は引き取ってもらえないので、まずは測量する必要があります。面積が広いと測量費用も百万単位は要すると思われますし、隣地の所有者が故人のまま数十年が経過して相続人が確定できないというケースもあります。なので「負」動産を国に引き取ってもらうのは、非現実的だと認識していただいた方がよいです。

 

 


5.遺産分割での解決の仕方は?

①共有を回避し、負担を分散させる。

例えば「負」動産が複数筆あるときは、A地は長男が相続し、B地は二男が相続するというように、負担を分散させることです。A地を長男と二男で共有するよりは、将来的なことを考慮すれば、煩わしさが多少は軽減することができます。

②「負」動産を相続する相続人には、プラス財産も多く相続させる。

不動産をプラス評価するための指標は、路線価とか固定資産税評価額などがありますが、「負」動産をマイナス評価するための指標というものはありません。私としては、国庫に帰属させた場合に国に支払うべき負担金相当額はマイナスしてもよいと思いますが、今の段階では決め手にはならないのが実状です。

③「負」動産を引き取ってくれる有料の民間サービスの検討

2026年3月12日の中日新聞刊に、民間サービスの取り組みの紹介記事が掲載されていました。場合によっては、引取りの可否を相談し、その場合の引取料を試算してもらうのも1つの手段と思われます。ただし、相続人の弱みにつけ込んだ悪徳業者に対する注意が必要です。

 


6.後まで折り合いがつかないとどうなるか?→法定相続分に応じて共有するだけ・・・

①遺産分割調停の申立て

相続人との間で協議がまとまらなければ、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをすることになります。調停では、調停委員が間に入り、解決策について模索してゆきます。

②遺産分割審判

遺産分割調停でも協議がまとまらなければ、家庭裁判所が「審判」することになります。「審判」とは判決のようなものです。もっともこのような場合、家庭裁判所は、「法定相続分に応じて共有せよ」という内容の審判を出すことになります。なので、根本的な解決にはなりません。

 

無料!土地活用に関するお問い合わせはこちらから
監修者:戸田 好政
役職 ソリューション事業部 副事業部長
資格 不動産コンサルティングマスター 宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士 
   マンション管理士 管理業務主任者 2級FP技能士
コラム一覧にもどる

土地活用についてのご相談はこちらから

CONTACT

どんなことでもお気軽に
ご相談ください。

お問合せフォーム

入居者さまは
こちらから

お問合せフォーム
WEBお問合せ 電話お問合せ アクセス