土地活用コラム

土地の相続税はどれくらいかかる?税の計算方法や節税に役立つ特例・控除を解説

両親などから土地を相続した場合、相続税が発生することがあります。相続税の有無や具体的な税額は、相続した資産の価値や特例適用の有無などによって異なり、適切な対策を講じておけば税制優遇を受けられるケースもあります。

将来土地を相続する予定がある方は相続税についての知識や対策方法をチェックしておきましょう。本記事では土地を相続したときに発生する税金や、相続税評価額や税金の計算方法、活用できる控除や特例、よくあるトラブルについて解説します。

 

土地を相続した時点で発生する税金

亡くなった人(被相続人)から土地を相続した時点で生じ得る税金は2つあります。

1つ目は相続税です。土地を相続した人(相続人)には、その土地の価値によっては相続税を納める義務が課せられる場合があります。
2つ目は登録免許税です。相続などによって土地の所有者を変更(移転登記)する際、登記を受ける者(相続人)に対して課せられます。

どちらも土地の価額に一定の税率を乗じて税額を求めますが、登録免許税の税率が不動産価額の0.4%(4/1,000)であるのに対し、相続税は10~55%とより高く設定されています。特に、土地の価額が大きい場合、相続と同時に多額の相続税が発生するため、家計を圧迫する可能性が高いです(※1)(※2)。

しかも相続税は、原則として指定の期限までに一括納付する決まりになっているため、納税額がどのくらいになるかあらかじめ確認し、必要に応じて資金の準備を始めておくことをおすすめします。

※1参考:国税庁.「No.7191 登録免許税の税額表」,(参照2025-04-17).
※2参考:国税庁.「財産を相続したとき」,(参照2025-04-17).

 

土地の相続税評価額の計算方法

相続した土地にかかる税金を求めるには、その土地の相続税評価額を調べる必要があります。相続税評価額とは、文字通り相続税を計算する際に使用する評価額のことで、国が定めた財産評価基本通達という評価方法に基づいて計算されます。土地は宅地や田、畑、山林などの地目ごとに、路線価方式あるいは倍率方式を用いて評価するのが基本です。

それぞれの適用基準と計算式は以下の通りです。

評価方式 適用基準 計算式
路線価方式 路線価が定められている土地 路線価 × 奥行価格補正率などの各種補正率 × 面積
倍率方式 路線価が定められていない土地 固定資産税評価額 × 評価倍率

路線価(その土地の1m²当たりの価額)は、国税庁のWebサイトで公開されている路線価図・評価倍率表で確認できます。

奥行価格補正率は、地区区分や奥行距離などその土地の形状に応じて定められています。例えば、路線価が20万円、奥行価格補正率が1.0、土地の面積が200m²だった場合、20万円 × 1.0 × 200m² = 4,000万円(注)がその土地の相続税評価額です。なお、奥行価格補正率は国税庁のWebサイトで確認することが可能です。
:その他の補正率(間口狭小補正率・不整形地補正率など)が追加される場合あり

一方の倍率方式は、市町村が決定する固定資産税評価額に、路線数・評価倍率表で確認できる評価倍率を乗じて計算します。例えば、固定資産税評価額が3,000万円で、評価倍率が1.1倍だった場合、3,000万円 × 1.1倍 = 3,300万円がその土地の相続税評価額です。

 

土地を相続したときの税金の具体的な計算方法を紹介!

土地の相続税を計算する方法を3つのステップに分けて説明します。

課税遺産総額を求める

課税遺産総額とは、相続税の対象となる財産から基礎控除を差し引いた額で、実際に税金が課せられる部分を指します。基礎控除とは、相続税を計算する際に適用される非課税枠であり、以下の計算式によって算出します(※)。

基礎控除 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の人数)

法定相続人とは民法で定めた相続人であり、被相続人の配偶者、子ども、親、兄弟姉妹などがこれに該当します。例えば夫が死亡し、妻と子2人が相続する場合、基礎控除額は3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円です。

※参考:国税庁.「No.4152 相続税の計算」,(参照2025-04-21).

法定相続分を求める

法定相続分とは、民法で定められた相続人ごとの遺産の取り分です。被相続人との関係に応じて以下のように定められています(※)。

法定相続人 法定相続分
配偶者と子ども 配偶者1/2、子1/2
配偶者と直系尊属(両親等) 配偶者2/3、直系尊属1/3
配偶者と兄弟姉妹 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

なお、子や直系尊属、兄弟姉妹が2人以上いる場合は、法定相続分を法定人数分で等分することになります。例えば、課税遺産総額が3,000万円で、法定相続人が妻と子2人だった場合、妻は1/2で1,500万円、子は1人につき1/4で750万円が法定相続分です。

※参考:国税庁.「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」,(参照2025-04-21).

相続税を計算する

相続税は、課税遺産総額を法定相続分で按分した金額に対して相続税率・控除額を適用して算出します。

相続税率と控除額は法定相続分に応じて以下のように定められています(※)。

法定相続分 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超~3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超~5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超~1億円以下 30% 700万円
1億円超~2億円以下 40% 1,700万円
2億円超~3億円以下 45% 2,700万円
3億円超~6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

前述のパターンを例に挙げると、妻の法定相続分は1,500万円であるため、相続税は1,500万円 × 15% - 50万円 = 175万円です。子1人当たりの相続税は750万円 × 10% = 75万円となります。

※参考:国税庁.「No.4155 相続税の税率」,(参照2025-04-21).

 

土地の相続のときに活用できる控除例

土地の相続の際に活用できる控除は、前述した基礎控除の他にもいくつか存在します。ここでは土地相続の際に活用できる控除の代表的な例を2つ紹介します。

配偶者の税額の軽減

配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が相続した遺産の額について、一定額までは非課税になるという制度です(※)。ここでいう一定額は、以下いずれかのうち多い額が適用されます。

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分相当額

この制度を利用するには、以下の書類を準備して所轄の税務署に提出する必要があります。

  • 相続税の申告書または更正の請求書
  • 戸籍謄本
  • 取得した財産が分かる書類(遺言書の写しや遺産分割協議書の写しなど)

遺産分割協議書の写しには、相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)も添付します。なお、この制度は配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算するため、一部の場合を除き、相続税の申告期限までに分割されていない財産については制度の対象外となる点に注意が必要です。

※参考:国税庁.「No.4158 配偶者の税額の軽減」,(参照2025-04-18).

未成年者の税額控除

未成年者の税額控除とは、相続人が未成年者である場合に一定の金額を控除する制度です。控除額は、未成年者が満18歳になるまでの年数1年(1年未満の期間がある場合は切り捨て)につき10万円で計算した額となります(※1)。

例えば、相続の時点で未成年者の年齢が16歳4カ月だった場合、端数である4カ月は切り捨てて16歳として計算するため、18歳までの年数は2年となり、2年 × 10万円 = 20万円が控除されます。
なお、未成年者が相続した相続税額が控除額より下回っていた場合、控除し切れない分はその未成年者の扶養義務者(両親等)の相続税額から差し引くことが可能です。

上記で紹介した制度の他にも、85歳未満の障害者が相続人になる場合に適用される障害者控除や、被相続人が亡くなった日より3年以内に財産の贈与を受けていた場合に適用される贈与税額控除などがあります(※2)(※3)。

※1参考:国税庁.「No.4164 未成年者の税額控除」,(参照2025-04-18).
※2参考:国税庁.「No.4167 障害者の税額控除」,(参照2025-04-21).
※3参考:国税庁.「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」,(参照2025-05-02).

 

小規模宅地等の特例とは? 適用対象と控除額を解説

小規模宅地等の特例とは、相続開始の直前まで被相続人または被相続人と生計を一にしていた親族の事業または居住の用に供されていた宅地等について、所定の要件を満たす場合、相続税評価額を一定割合減額できる制度です(※)。

適用には所定の要件を満たさなければならないため、国税庁のWebサイト等で概要をチェックしておきましょう。

※参考:国税庁.「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」,(参照2025-04-21).

特例対象となる土地

特例の対象となる土地は、以下3つです(※)。

特定事業用宅地等 相続開始の直前に被相続人等の事業用宅地として使われていた土地(相続開始3年以内に 用いられ始めたものを除く)
特定居住用宅地等 相続開始の直前に被相続人等が居住していた宅地
貸付事業用宅地等 相続開始の直前に、被相続人が営んでいた貸付業のために用いられていた宅地

なお、上記の条件に加え、それぞれの利用区分ごとに事業承継要件や保有継続要件などを満たす必要があります。要件は国税庁のWebサイトに詳しく掲載されているため、事前にきちんと確認しましょう。

※参考:国税庁.「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」,(参照2025-04-21).

減額割合と限度面積

特例が適用された場合の減額割合は宅地等の利用区分や要件によって以下のように定められています(※)。

利用区分 要件 限度面積 減額割合
貸付事業以外の事業用宅地 特定事業用宅地等に該当する宅地等 400m²
 一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業除く)用の宅地 特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等 400m² 50%
貸付事業用宅地等に該当する宅地等

 

200m²
 一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地 200m²
 被相続人等の貸付事業用の宅地 200m²
 被相続人等の居住の用に供されていた宅地 330m²

限度面積とは、その減額割合が適用される土地面積の上限です。これ以上の分については減額は適用されないことに注意が必要です。

※参考:国税庁.「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」,(参照2025-04-21).

 

土地の相続のときによくあるトラブル

土地の相続は必ずしもスムーズに行われるわけではなく、時としてトラブルに発展することもあります。トラブルの内容は多岐にわたりますが、よくあるケースは以下の通りです。

  • 土地の分割方法が決まらない
  • 土地の評価方法を巡る意見の対立
  • 土地の名義が古いまま、あるいは共有名義になっている
  • 相続した土地の管理方法が決まらない

特に遺言書が作成されていない場合、法定相続人同士で遺産分割協議を行い、どのように遺産を分ければ良いか一から話し合わなければなりません。各々が意見を主張し合うと話がまとまらず、トラブルに発展しやすくなるため、土地相続が得意な専門家に相談するなど第三者に介入してもらって対処することを検討した方が良いでしょう。

 

土地相続では特例と控除を最大限活用しよう!

土地を相続すると、相続した財産に応じた税金が発生します。土地の価値が高い場合、多額の相続税を負担しなければならないこともあるため、基礎控除に加え、配偶者の税額軽減や未成年者の税額控除、小規模宅地等の特例などの制度を利用し、なるべく税制上の優遇を受けられるよう努めましょう。
また土地相続はトラブルリスクが高い手続きであるため、必要に応じてプロの力を借りることも大切です。

貝沼建設では、55年にわたって培ってきた実績に基づき、相続・遺言サポートや法務相談・訴訟対応などを含む幅広い建設・不動産サービスを提供しています。「土地の相続税を支払えるか不安」「遺言書をどう作成したらいいか分からない」などの悩みや問題を抱えている方は、ぜひ貝沼建設の建設・不動産サービスをご利用ください。

コラム一覧にもどる

土地活用についてのご相談はこちらから

CONTACT

どんなことでもお気軽に
ご相談ください。

お問合せフォーム

入居者さまは
こちらから

お問合せフォーム