土地活用コラム

マンション経営が相続税対策になる理由は?相続税の計算方法や安定した経営のポイントを解説

親から大切な資産を受け継ぐとき、多くの方が直面するのが相続税の問題。「できる限り税負担を抑えたいけれど、具体的にどうすれば良いのだろう」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、親が経営していたマンションを相続することが、有効な手段の一つとなり得ます。

本記事では、マンション経営が相続税評価額に影響を与えるメカニズムから、具体的な相続税の計算方法、そして相続したマンションの経営を軌道に乗せ、長期的に安定させるための重要なポイントまで、専門的な知見を交えながら分かりやすく解説します。将来の相続に備えたい方、まさに今マンション相続に直面している方は、ぜひ参考にしてください。

 

マンション経営が相続税対策になる理由

経営中のマンションを相続し、そのまま経営を引き継ぐことは、有効な相続税対策になります。マンション経営が相続税対策になる理由は、同等の価値がある現金を相続するよりも、不動産の相続の方が相続税を抑えられるからです。一般的に建物の相続税評価額は、建物価格の とされています。

また、経営中のマンションが建っている敷地は、「貸家建付地」に分類される可能性があります。貸家建付地とは、所有している土地に建物を建て、その建物を第三者に貸し出している場合の敷地のことです。貸家建付地の場合、第三者に借家権が発生することで、所有者の権利が制限されるため、自用地として使用する場合よりも、資産評価額が結果として2割程度下がるケースもあります。

貸家建付地の要件は、以下の通りです。

  • 土地に建物が建っている
  • 一般的な相場の賃料の支払いを受けている
  • 課税時期より前から継続して物件を貸し出している

加えて、貸家建付地は貸付事業用宅地として見なされ、「小規模宅地等の特例」を受けられる可能性があります。この特例が適用された場合、200m²の面積を限度として、土地の相続税評価額が50%減額されます(※)。

そのため、同等の現金を相続するよりも、大幅に相続税を抑えられるのです。

※参考:国税庁.「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」.(参照2025-04-26).

 

経営中のマンションを相続する際にするべきこと

経営中のマンションを相続する場合、しなければならないことがいくつかあります。専門家にも相談しながら、抜けがないように注意しましょう。

やるべきこと 概要
ローンの有無の確認 ローンがあり、残っている場合は、相続人に返済の義務が生じる。ただし、団体信用生命保険付きローンの場合、相続人にローン返済の義務はない。
引き継ぎ者の決定 遺言書で指定がある場合、マンション経営の引き継ぎは名前が記載されていた人が引き継ぐ。引き継ぎには、法定相続人全員の同意が必須になる。
関係者への連絡 管理会社や銀行に連絡し、名義変更を行う。管理会社に委託している場合、入居者への通知は管理会社が行う。
名義変更手続き 相続登記を行い、名義変更を行う。一般的には司法書士や弁護士に代行を依頼する。
準確定申告 前オーナーが亡くなった日から4カ月以内に、引き継ぎ者が準確定申告を行う。
納税 相続の発生から10カ月以内に相続税を納める。

 

マンションの相続税はどのように計算する?

経営中のマンションを相続する場合、相続税の対象となるのは「土地」と「建物」です。相続税を計算する際は、それぞれを分けて考える必要があります。賃貸マンションの相続税を計算する方法は、以下の通りです。

  1. 土地の相続税評価額を計算する
  2. 建物の相続税評価額を計算する
  3. 土地・建物の相続税評価額を合算し、賃貸マンションの相続税評価額を算出する
  4. 3で算出した賃貸マンションの相続税評価額と、その他に相続する遺産の総額を合算し、相続財産総額を算出する
  5. 相続財産総額から基礎控除額・配偶者控除などの特例による控除額を差し引き、相続税評価額を算出する
  6. 相続を受ける人数や振り分けの割合に応じて、一人当たりの相続税額を算出する

ここからは、土地・建物の相続評価額計算方法を詳しく見ていきましょう。

土地の相続税評価額計算方法

土地の相続税評価額を計算するには、土地全体の評価額を算出しなければなりません。土地全体の評価額の算出方式は、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類です。

  • 路線価方式:市街地などの土地に定められた路線価(宅地1m²当たりの評価額)を元に土地全体の評価額を算出する方法
  • 倍率方式:該当する土地の固定資産税評価額で決められている評価倍率をかけて算出する方法

マンションは路線価が定められた市街地に建っているケースが多いため、一般的に路線価で計算します。路線価は、こちらのページで確認できます。

では、土地の計算方法を見てみましょう。

  1. 「路線価 × 土地面積 × 各種補正率」で、土地全体の評価額を算出する
  2. 「土地全体の評価額 ×(1 - 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)」で、土地の相続税評価額を算出する
  3. 「小規模宅地等の特例」を受ける場合は、減額割合を適用し、最終的な土地の相続税評価額を算出する

借地権割合とは、土地の権利のうち借地権が占める割合のことです。路線価は「200B」のように、数字とアルファベットで構成されており、アルファベットの種類によって、借地権割合が以下のように決まっています。

  • A:90%
  • B:80%
  • C:70%
  • D:60%
  • E:50%
  • F:40%
  • G:30%

借家権割合は、賃貸物件の相続税評価額を算出する際に、評価額を減額できる割合のことです。一律30% と決まっており、賃貸物件が建っている土地にも適用されます。

賃貸割合とは、マンションの全部屋のうち、課税される時点で貸し出されている部屋の割合のことです。

建物の相続税評価額計算方法

マンションの建物部分の相続税評価額は、固定資産税評価額に基づいて算出されます。

経営中のマンションを相続する場合の、建物の相続税評価額の計算式は「建物の固定資産税評価額 × (1-借家権割合 × 賃貸割合)」です。建物の借家権割合は、全国で30% に統一されています。

 

老朽化したマンションの相続税評価額は?

老朽化したマンションを相続する場合であっても、相続税は発生します。

しかし、建物の固定資産税評価額には築年数が影響するため、築年数がたっているマンションの相続税評価額は、低くなる可能性が高いです。その分、マンション全体の相続税評価額も低くなるため、老朽化したマンションは、同規模の築年数が浅いマンションと比較すると、相続税を抑えられる可能性が高いでしょう。

ただし、老朽化が著しいマンションの場合、相続後のメンテナンスにコストがかかってしまう恐れがあります。また災害時などに倒壊などの危険もあるため、十分注意が必要です。とはいえ、更地にしたままにしてしまうと、土地の税制優遇措置の対象外となります。相続する場合は、マンションの築年数や状態を踏まえて、しっかり検討することが大切です。

なお、マンションの築年数は、土地の相続税評価額には影響しません。土地の相続税評価額は、公示地価や相続税路線価によって変動します。土地開発などで周辺環境が整備されれば、土地の相続税評価額が高くなることがあります。

 

相続されたマンションの経営を安定させるには?

ここからは、相続されたマンションの経営を安定させるためのポイントを解説します。

適切な管理方法を選択する

マンション経営を安定させるには、適切な管理方法を選択しましょう。

管理方法には、全ての管理を自分で行う自主管理、全ての管理を管理会社に委託する「全部委託管理」、一部の管理を管理会社へ委託する「一部委託管理」があります。自主管理は管理委託費が発生しませんが、その分手間がかかります。手間を軽減しつつ、コストも削減したいなら一部委託管理も一つの方法です。

無理のない管理方法を選択するためにも、専門家へ相談しながら慎重に見極めましょう。

キャッシュフローを考慮した資金計画を立てる

マンション経営を安定させるには、キャッシュフローを考慮した資金計画を立てましょう。

マンションは築年数がたつと老朽化が目立ち、メンテナンスにコストがかかる反面、賃料が安くなる傾向にあるため、キャッシュフローが悪化しやすいです。安定した経営を行うには、手元にできるだけお金を残しておくことが大切になります。

将来を見据えて現実的な収益を試算しつつ、修繕資金を早い段階から積み立てたり、借入額を増やし過ぎないようにしたりすることが重要です。

必要に応じたリフォームを行う

安定したマンション経営を行うには、必要に応じたリフォームを行うことも大切です。

いくら立地が良くても、内装や設備が古くなると、借り手が見つからず、赤字になってしまう恐れがあります。あれこれリフォームをすると収入よりも支出が上回ってしまいますが、トレンドやターゲット層を意識しつつ、必要なリフォームを行うことで、空室のリスクを軽減できます。

 

相続したマンションの経営に関するご相談は貝沼建設へ

経営中のマンションの相続は、現金や自用地の相続よりも、相続税を抑えられる可能性があります。ただし、相続税額は立地や建物の築年数などによって大きく異なるため、相続する前にどの程度の金額になるか試算することが大切です。相続したマンションの経営を引き継ぐ場合は、ご自身に合う管理方法を選択し、将来を見据えた資金計画や修繕計画を立てましょう。

不動産管理や土地活用をサポートしている貝沼建設では、運営中の賃貸物件のご相談にも対応しています。他社の管理物件であっても、現状を踏まえて適切なアドバイスを提供します。まずはお気軽にご相談ください。

コラム一覧にもどる

土地活用についてのご相談はこちらから

CONTACT

どんなことでもお気軽に
ご相談ください。

お問合せフォーム

入居者さまは
こちらから

お問合せフォーム