土地活用コラム
【相続税対策】おすすめの土地活用方法は?相続税の計算方法や注意点を解説
相続税を軽減するにはさまざまな方法がありますが、土地を所有しているのなら、土地活用はおすすめの相続税対策方法です。具体的にどのような土地活用を行えば、相続税を抑えることができるのでしょうか。
本記事では、相続税の計算方法や相続税対策におすすめの土地活用方法、注意点などを解説します。どのような相続税対策が適しているかは、資産の状況や状態などによっても異なりますが、土地を持っているのなら、活用するのがおすすめです。ご自身に合う相続税対策にお悩みの方は、本記事を参考にしてみてください。
相続税の計算方法
相続税対策におすすめの土地活用方法を知る前に、まず相続税がどのようにして算出されるのかを知っておきましょう。
1. 相続財産を評価する
相続税を計算するためには、まず相続財産を評価します。
相続財産の評価とは、相続する財産一つひとつの相続税評価額を算定することです。例えば、普通預金の場合、相続が開始した日の残高が相続税評価額になります。
土地の場合、国税庁が公表する路線価(道路に面する土地1m²当たりの評価額)で定められている場合は、路線価を基にして相続税評価額を求めます(※)。路線価の設定がない土地は、固定資産評価額に地域ごとに定められた倍率をかけて算出する仕組みです。
財産にはそれぞれ相続税評価額の算出方法が決まっているため、それぞれ算出して合計し、相続税評価額の総額を明らかにします。
※参考:国税庁.「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」. ,(参照2025-04-28).
2. 債務控除を適用する
相続税評価額の総額を求めたら、債務控除を適用します。
債務控除とは、被相続人(亡くなった方)のプラスの資産の総額から、被相続人が残した借金や未払金などのマイナスの資産や一部の葬式費用を差し引くことです(※)。相続税評価額の総額から、マイナスの資産の総額を引いて正味の相続財産額を算出しましょう。
※参考:国税庁.「No.4126 相続財産から控除できる債務」. ,(参照2025-04-28).
3. 基礎控除額を差し引く
次に債務控除を適用して算出した正味の相続財産額から、基礎控除額を差し引きます。
相続税の基礎控除額は、「3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の人数)」と決められています(※)。例えば、法定相続人が1人の場合は3,600万円、2人の場合は4,200万円です。
正味の相続財産額から基礎控除額を差し引いた金額は「課税遺産総額」と呼ばれ、相続税の課税対象となります。遺産総額が基礎控除額を下回れば、相続税は課されません。
例えば、法定相続人が2人で10億円を相続する場合、基礎控除額は4,200万円になるため、課税遺産総額は9億5,800万円になります。
※参考:国税庁.「相続税」. ,(参照2025-04-27).
4. 相続人ごとの相続税額を計算する
次に課税遺産総額を法定相続分の割合で按分し、相続人ごとに取得額を出した上で、それぞれの相続税額を計算します。
法定相続分の割合は、以下の通りです(※1)。
相続人 | 割合 |
配偶者と子ども | 配偶者:1/2 子ども:1/2(複数人の場合は人数で分割) |
配偶者と直系尊属(父母・祖父母) | 配偶者:2/3 直系尊属:1/3(複数人の場合は人数で分割) |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者:3/4 |
兄弟姉妹:1/4(複数人の場合は人数で分割) |
例えば、配偶者と子ども2人が相続人で、課税遺産総額は9億5,800万円の場合、配偶者の取得額は4億7,900万円、子どもはそれぞれ2億3,950万円となります。
それぞれの取得額に応じて以下の税率をかけ、控除を差し引いた額が、各人の相続税額です(※2)。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | – |
1,000万円超から3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超から5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超から2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
2億円超から3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
3億円超から6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
配偶者の取得額4億7,900万円に対する相続税額は、「(4億7,900万円 × 50%) - 4,200万円 = 1億9,750万円」、子ども1人当たり取得額2億3,950万円に対する相続税額は「(2億3,950万円 × 45%) - 2,700万円 = 8077.5万円」になります。
配偶者と子ども2人の相続税額を合計すると、3億5905.5万円です。
※1参考:国税庁.「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」. ,(参照2025-04-27).
※2参考:国税庁.「No.4155 相続税の税率」. ,(参照2025-04-27).
5. 実際に相続した財産の割合に応じて相続税総額を按分する
最後に、実際に相続した財産の割合に応じて相続税総額を按分します。
例えば、先ほど計算した配偶者と子ども2人の相続税の総額は、3億5,905万円でした。この額を「各相続人の課税額 ÷ 課税遺産総額」で計算した「按分割合」に応じて、按分します。
その後、配偶者の税額軽減や未成年者控除、障害者控除を適用し、一人ずつ納めるべき相続税額を決めます。
相続税対策におすすめの土地活用方法3選
相続税がどの程度になるかは、相続する財産によっても変わってきますが、土地を所有している方が相続税対策をするなら、土地活用をするのがおすすめです。どのような土地活用方法が相続税対策に適しているのかを見ていきましょう。
アパート・マンションを経営する
相続税対策に土地活用する代表的な方法として、アパート・マンション経営があります。
賃貸アパートやマンションを建てた土地は、「貸家建付地」に分類されます。貸家建付地は、自宅などが建っている「自用地」よりも、土地の相続税評価額が低くなるのが特徴です。一定条件を満たして、「小規模宅地等の特例」が適用されれば、200m²を上限に土地の相続税評価額はさらに50%減額されます(※)。また賃貸アパート・マンションの建物の相続税評価額も、自宅などの「自用家屋」より下がるため、相続税の負担を大幅に減らすことができるでしょう。
アパート・マンションの経営は初期費用や維持・管理コストがかかりますが、家賃収入が得られるため、将来に備えて資産を増やせます。ただし、入居者が集まらなければ赤字経営になってしまうため、事前にニーズを調査し、アパートやマンションに適した土地か見極めることが大切です。
※参考:国税庁.「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」. ,(参照2025-04-27).
テナントビルを建てる
テナントビルを建てて、貸し出すのも相続税対策に適した土地活用方法です。
テナントビルとして他人に貸し出す場合も、ビルが建っている土地は「貸家建付地」に該当するため、土地の相続税評価額が低くなります。また条件を満たせば「小規模宅地等の特例」が適用されるため、相続税評価額をさらに50%減額できるかもしれません(※)。
駅から近い好立地な土地を持っている場合は、アパート・マンション経営よりもテナントビルを建てた方が、高い家賃収入が見込める可能性があります。ただし、大規模なビルを建てる場合、初期費用が高額になる上、維持・管理のコスト、セキュリティコストなども膨らみやすいです。
※参考:国税庁.「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」.,(参照2025-04-27).
土地のまま貸す
土地のまま貸すのも、相続税対策として効果が期待できる土地活用方法の一つです。
土地を更地のまま貸し出す場合、借地権が発生します。借地権とは、他人に対価を払って土地を借り、その上に自分の建物を建てられる権利です。借地権が発生する土地は、所有者が自由に土地を使えないため、土地の相続税評価額に借地権割合が考慮され、相続税評価額が低くなります。
アパート・マンション経営やテナントビルの建設に比べると、初期投資を抑えられ、維持・管理コストも軽減できるのがメリットです。ただし、定期借地権が設定された場合、長期間にわたって土地を自由に使えなくなります。
相続税を少しでも減らす方法は?
相続税を少しでも減らしたいなら、暦年贈与を行うのも一つの方法です。
暦年贈与は、1月1日から12月31日の1年間で贈与した総額を、基礎控除額である110万円以内に抑える手法です(※1)。1年間少しずつ贈与を行うことで、相続財産を減らせるため、結果として相続税が減らせます。
他人に土地を貸して家賃収入を得ると、財産が増えるため、将来の相続税にも影響を及ぼしやすいです。暦年贈与は、土地活用によって増加した財産の相続税対策としても適しています。
また生命保険の非課税枠を活用するのもおすすめの方法です。生命保険には、「500万円 × 法定相続人の人数」の非課税枠が設定されています(※2)。課税対象となる相続財産を減らせるため、相続税の圧縮が可能です。
相続税を少しでも減らすためには、養子縁組をして法定相続人を増やすのも一つの方法です。法定相続人が増えれば、相続税の基礎控除額も、生命保険の非課税枠も増えます。実子がいる場合は養子1人まで、いない場合は2人まで、法定相続人として認められます(※3)。
※1参考:国税庁.「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」.,(参照2025-04-27).
※2参考:国税庁.「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」. ,(参照2025-04-27).
※3参考:国税庁.「No.4170 相続人の中に養子がいるとき」. ,(参照2025-04-27).
相続税対策で土地活用するときの注意点
最後に相続税対策で土地活用をするときの注意点を解説します。
土地の条件・状態を考慮する
相続税対策で土地活用をする際は、土地の条件・状態を考慮しましょう。
土地の条件や状態によって、適した土地活用方法は異なります。例えば、住宅街にある土地にテナントビルを建てても、思うようにテナントが入らないかもしれません。所有する土地の条件や状態を踏まえて、適切な土地活用方法を検討しましょう。
収支のバランスを考える
土地活用で相続税対策を行う際には、収支のバランスに注意しましょう。
土地活用には、初期投資やローンの返済、維持・管理費用など、さまざまな費用がかかります。土地の規模や活用方法によってそのコストは異なりますが、収入よりも支出の方が多くなってしまうと、節税どころか資産が目減りし、最悪の場合、赤字になる可能性もあります。
将来的な支出も想定した上で、無理のない収支計画を立てることが、土地活用を成功させるポイントです。
相続時にトラブルが起こりやすい
相続税対策に適している土地活用ですが、財産のほとんどを不動産が占めている場合、公平に分割しにくいため、相続時のトラブルが起こりやすい傾向にあります。
残された家族が円満に相続できるように、相続人それぞれに対して、どのように財産を残すのかを検討しておくことが大切です。
相続税対策の土地活用は専門家への相談がおすすめ
土地活用は、相続税を大幅に減らせる効果が期待できる手法の一つです。ただし、相続税に適した土地活用といってもさまざまな方法があり、土地の条件や状態によっても適切な方法は異なります。効果的に相続税を減らせるように、土地活用をする際は専門家に相談するのがおすすめです。
名古屋市にある貝沼建設は、土地活用や不動産管理に豊富な実績があります。多くの不動産活用による資産相続にも携わった経験から、オーナーさまごとに適したプランのご提案が可能です。相続税対策を目的とした土地活用を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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