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土地活用コラム

建物を所有している借地人が死亡し、借地人の相続人全員が相続放棄した場合と所有者不明建物管理制度について

◎貸している土地の上に建物を建てて所有している借地人が亡くなりました。
今後、借地契約はどのようになりますか?

❶借地人が死亡した場合

まず借地人が「死亡したことだけ」を理由に借地契約を解除することはできません。
借地人が有していた借地権という権利は、借地人の相続人にそれぞれ相続されることになります。
本件のような場合、建物を相続した人が借地権も相続することになりますので、建物を相続した人を借地人として、新たに借地契約書を作成してください。
借地期間が長くなるのを避けたいときは、借地人変更の覚書を取り交わしてください。
大事なのは、建物を相続したのが誰なのかが分かる書類(相続登記後の登記簿謄本や未登記建物なら固定資産税評価額証明書など)を受け取ってください。
相続人が特定されていないと、紛争が生じた場合、誰と相手すべきか不明瞭となり、最悪相続人全員を相手にしなければいけないという事態になりかねません。

❷借地人の相続人から建物買取を請求された場合の対処

⑴建物を使用する予定がない相続人から、この機会に借地契約を終了させたいので、相続人から建物の買取請求がされる場合もあります。
しかし、期間満了で借地契約を終了する場合ではないので、借地人には建物買取請求はなく、地主は買取義務はありません。このような申出があった場合、土地の活用予定がなければ拒否して、今後も相続人に対して地代を請求すれば足ります。
⑵他方、土地の返還を望むのなら、買取価格を交渉して売買契約が成立したら、借地契約を合意解約すれば足ります。

❸借地権の相続人全員が相続放棄をした場合

⑴相続人全員が相続放棄をしてしまうと、建物を管理する人がいなくなり、地主としては、解体したくても話を進める相手がいなくなってしまいます。

このような場合、これまで地主が相続財産管理制度の申立てをする必要がありました。
しかし、相続財産管理制度は、特定の不動産の処分を目的として利用することはできず、被相続人の全ての財産(預貯金や負債など)の調査をして処分する制度です。
そのため、対象としたい不動産が1つであっても、全ての手続きが終わるまで時間がかかり、裁判所への予納金が高額になるというデメリットがありました。
このようなデメリットを解消するために民法が改正され、令和5年4月1日から、所有者不明建物管理制度という新しい制度が始まることになりました。所有者が不明な建物については、裁判所が、所有者不明建物管理人を選任し、その管理人が、裁判所の許可を経て、建物を管理するというものです。

所有者不明建物管理制度の使い勝手は?

この改正は、昨今話題になっている空き家対策の一つでもあり、処分対象を建物に限定することで、迅速な処理を進めるためのものです。
画期的な制度のようにも思いますが、管理人が解体の手配までしてくれるわけではありません。
特に相続人全員が放棄しているケースでは、被相続人に財産がないとか負債を抱えているというのが大半です。
そして、管理人自身が解体費用を負担する義務はないので、建物の解体を目的として管理人選任の申立てをする場合には、管理人の選任を申し立てる人(本件だと解体を求める地主)が、解体費用相当額を予納することになります。
結局のところ、相続人全員が相続放棄している場合では、解体費用は地主負担となる事態しか考えられません。
したがって、所有者不明建物管理制度というものは、合法的に建物を解体するためのお墨付きをとるための手続にしかならないことを念頭に置いてください。

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