土地活用コラム

テナント(借主)が死亡した場合について

◎店舗(飲食店)建物の賃貸借契約をテナント(個人の賃貸借)が突然亡くなりました。しかし、賃貸人には家族がいないみたいで、店舗も什器備品がそのまま3か月も置いてある状態です。オーナー(貸主)は、残置物を処分してもよいでしょうか。

 

 

❶まずは相続人探しから

賃貸人が所有していた賃貸権という権利と什器備品の所有権は、賃貸人の「相続人」にそれぞれ相続されることになります。なので、いきなり処分してしまうことは「自力救済」ということになり、違法な行為として損害賠償の対象となってしまいます。したがって、まずは相続人を探すことが必要です。

❷相続人の探し方

⑴契約書の確認

アパートなどの住宅の賃貸借契約の場合は、同居人として家族の氏名や年齢などを書いてもらうのが一般です。しかし、店舗建物の賃貸借契約の場合は、家族の記載をしてもらうことはありません。ただし、連帯保証人がいる場合には、まずは、連帯保証人に連絡し、家族の連絡先を知らないか確認します。

 

 

⑵住民票の取り寄せ

このような場合、事件性があるので、弁護士であればテナントの住民票の甲府を役所に請求することができます。ただし、契約書に書いてある住所で、テナントが住所登録をしている必要があります。そうでないと「該当なし」ということで、住民票が交付されず、そのため相続人調査もこの段階で打ち切りとなってしまいます。そうすると、次のステップとしては、相続財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てするのが原則となります。しかし、時間的・費用的に負担が大きく、とても割に合いません。

 

 

❸相続人が判明したら

相続人が判明した場合、相続人を相手に①建物明渡しと②未払賃料の支払いを請求します。そのうち、①建物明渡しだけであれば、解除通知とは異なり、「相続人のうち一人」を相手とすれば足ります。なぜなら、建物の明渡しは金銭のように分割することはできないので、誰か一人が全部の義務(この場合だと建物の明渡しです。)を果たさなければならないからです。しかし、②未払賃料については、滞納額を法定相続分の範囲でしか請求できませんので、全額請求するのであれば、相続人全員を相手にする必要があります。

❹相続人全員が相続放棄をしてしまったら

この場合、借主の地位を引き継ぐ人がいなくなってしまうことになります。したがって、先のとおり、相続財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てするのが原則となります。

❺実際のところ

テナントが死亡して相続人がいなかったり、突然行方不明となってしまった場合、相続財産管理人や不在者財産管理人の選任を申し立てた上で、管理人を相手に建物明渡しなどを請求することになります。しかし、時間と費用(管理人報酬の予納金として少なくとも30万円は必要です。)がかかる上、管理人が残置物の処分や原状回復までしてくれるわけではなく、せいぜいオーナーが残置物を処分することに対して承認するという、お墨付きをくれる程度までのことです。実際のところは、3か月程度経過しても進展がなければ、オーナーが処分してしまうことが多いという印象です。もっとも、このような場合でも、後々になってテナントの関係者を名乗る者が現れて、預けていた物を返せなど言いがかりをつけてくるリスクは捨てきれません。

 

 

❻その他、オーナーがとるべき行動は

⑴建物内の状況確認

まずはテナントの状況(電気・ガス・水道の開栓状況や郵便物の滞留など)を確認し、防犯・保安上の必要がありますので、合鍵などで立ち入りしてください。その際、テナント宛の郵便物や書類がないか確認してください。ただし、開封までしてはいけません。

 

 

⑵現場記録の保存

やむなくオーナーが処分する場合、少なくとも室内の状況についてはくまなく写真撮影をするなどしておいてください。

 

 

⑶契約時に本人確認書類を確保

免許書や保険証、住民票の写しや印鑑登録証明書など、諸々の公的機関が発行している本人確認書類を、どこかのタイミングで提出してもらうなり、少なくともオーナーが確認するようにしてください。そうすることで、少なくとも相続人調査は可能となります。

 

 

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