土地活用コラム

アパート経営と青色申告|節税効果を最大限に引き出す方法

アパートやマンションなどを経営して家賃収入を得ているなら、確定申告によって収入や経費を申告する必要があります。確定申告の中でも青色申告を選択すれば節税効果が高まるため、しっかり理解を深めておきましょう。

本記事では、アパート経営における青色申告の重要性やメリット、勘定科目と仕分けのポイントなどについてご紹介します。アパートを経営している方は、参考にしてみてください。

 

なぜアパート経営で青色申告を活用すべきなのか?

アパート経営によって家賃収入を得ている場合は、一部の例外を除き、確定申告をしなければなりません。アパートやマンションなど、不動産の貸し付けによる所得は不動産所得に該当します。そのため、家賃収入や必要経費を正確に計上し、確定申告を行う必要があります。

確定申告では、基本的に1月1日から12月31日までに発生した家賃収入と必要経費を計上し、翌年2月16日から3月15日までの期間に申告をするのが一般的です(※)。申告期間は年度によって変わることもあるため、申告前に確認しておくことが大切です。

なお、確定申告の方法は、青色申告と白色申告の2つに分けられます。アパート経営で青色申告を活用すべきなのは、節税効果を高められるからです。次の項目では、青色申告のメリットについて、白色申告と比較しながらご紹介します。

※参考:国税庁.「No.2020 確定申告」.“概要”“申告等の期限”,(参照2025-05-29).

 

青色申告のメリットとは?

青色申告の大きなメリットは、白色申告とは異なり、青色申告特別控除を受けられることです。青色申告の場合、複式簿記による記帳や貸借対照表・損益計算書の作成などが必要であり、白色申告よりも確定申告の手間がかかります。一方で、特別控除により課税対象となる所得を減らせるため、節税効果は高まるでしょう。

ここからは、アパート経営において青色申告を行うメリットについて詳しく解説します。

最大65万円の青色申告特別控除

青色申告を選択すれば、最大65万円の特別控除を受けられます(※1)。

ただし、65万円の特別控除を受けるためには、アパート経営が事業的規模であることが必要です。アパート経営の場合、貸し付けできる独立した室がおおむね10室以上であれば、事業的規模であると認められます(※2)。

さらに、電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告を行うことも必要です。それ以外の申告方法の場合は、最大55万円の特別控除となるため注意しましょう。また、事業的規模と認められない場合は、最大10万円の特別控除しか受けられません(※2)。

※1 参考:国税庁.「No.2072 青色申告特別控除」.“概要”,(参照2025-05-29).
※2 参考:国税庁.「No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」.“内容”“所得金額の計算上の相違点”,(参照2025-05-29).

純損失の繰り越しと繰り戻し

青色申告を行えば、純損失を繰り越したり繰り戻したりして節税を図れます(※)。例えば、ある年に赤字が発生した場合、翌年以降3年間は繰り越しを行って、それぞれの年の所得から控除できるのです。

仮に、ある年に100万円の赤字が発生し、翌年に500万円の所得があったケースを考えてみましょう。この場合、100万円の赤字を繰り越し、翌年の所得を400万円(500万円 – 100万円)に減額できます。また、前年も青色申告をしていれば、赤字を繰り戻して納税した所得税の還付を受けることも可能です。

アパート経営においては、建設や大規模修繕のタイミングで大きな赤字が発生するケースも多いでしょう。発生した赤字をうまく処理することで節税を図れるため、仕組みをよく理解しておくことが大切です。

※参考:国税庁.「No.2070 青色申告制度」,(参照2025-05-29).

家族への給与を経費にできる(青色事業専従者給与)

家族への給与を経費にできる点も、青色申告の大きなメリットです。アパート経営を配偶者や子どもなどに手伝ってもらっており、適正な金額の給与を支払っている場合は、経費として計上できます。給与を経費計上すれば、課税対象となる所得を減らせるため、節税につながるでしょう。

ただし、青色申告者と同一生計である、年齢が15歳以上の家族、それ以外の事業に従事していないといった条件を満たす必要があります。また、アパート経営が事業的規模と認められない場合は、家族への給与の経費計上はできません(※)。

※参考:国税庁.「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」.“(1)青色申告者に係る「青色事業専従者給与」”,(参照2025-05-29).

貸倒引当金の計上

事業的規模のアパート経営に該当する場合、貸倒引当金を経費として計上できます。例えば、入居者の自己破産や夜逃げなどにより家賃を回収できなくなった場合、その年の経費として計上することが可能です。

ここまで解説したように、青色申告を選択すれば高い節税効果を得られます。必要に応じて税理士などに相談しながら、青色申告を進めてみましょう。

 

アパート経営で青色申告をするための準備と手続き

アパート経営で青色申告をするためには、開業届や青色申告承認申請書の提出、複式簿記での記帳などを行う必要があります。ここからは、青色申告をするための準備と手続きについて、確認しておきましょう。

開業届の提出

開業届は、アパート経営などの事業をスタートしたことを申告するための書類です。正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」と呼ばれており、氏名・生年月日・屋号・所得の種類などを記載して提出する必要があります。

届出先は、納税地を所轄する税務署です。基本的にはアパート経営を始めてから1カ月以内に提出する必要があるため、忘れないようにしましょう。

青色申告承認申請書の提出

青色申告を行う場合は、事前に青色申告承認申請書の提出が必要です。申告をしようとする年の3月15日までに所轄の税務署に提出しておけば、青色申告による確定申告ができます。青色申告承認申請書を提出していない場合は、白色申告になるため注意しましょう。

複式簿記での記帳の必要性

青色申告で65万円の特別控除を受けるためには、複式簿記で記帳します。複式簿記とは、一つの取引について、借方と貸方という二つの視点から記録する方法です。複式簿記を採用することでお金の流れが明確になり、青色申告で必要な貸借対照表や損益計算書を作成できます。

 

アパート経営における青色申告の勘定科目と仕訳のポイント

勘定科目とは、取引の内容を分類するための項目です。代表的な勘定科目としては、売上・修繕費・消耗品費などが挙げられます。アパート経営をするなら、取引内容に応じて正しい勘定科目に仕訳しましょう。

収入に関する勘定科目

アパート経営における主な収入は、入居者からの家賃や駐車場代、契約更新料などです。家賃や駐車場代は、サービスの提供によって得た収入であるため、勘定科目「売上」として仕訳します。契約更新料や礼金などは、「礼金・更新料」という勘定科目を使って仕訳しましょう。

費用に関する勘定科目

アパート経営では、固定資産税や建物の修繕費用、管理委託料などの支出が発生します。固定資産税や不動産取得税など、経費として認められる税金は「租税公課」という勘定科目を使いましょう。また、アパートの修繕にかかる費用は「修繕費」、専門業者に管理を委託したときの費用は「管理諸費」として仕訳をします。

アパート経営に関わる支出を正確に経費計上することは、節税効果を高める上で重要なポイントです。日々の仕訳を適切に行うようにしましょう。

 

まとめ|青色申告を活用してアパート経営を有利に進めよう

本記事では、アパート経営における青色申告の必要性やメリット、手続きの方法、勘定科目・仕訳のポイントなどをご紹介しました。青色申告をすれば、最大65万円の特別控除を受けられたり、家族への給与を経費として計上できたり、さまざまなメリットがあります。白色申告と比較すると手間はかかりますが、大きな節税効果を得られるため、アパート経営を始めるなら青色申告を選択するのがおすすめです。

また、リスクを抑えてアパート経営をスタートしたいなら、専門家のサポートを受けるとよいでしょう。貝沼建設株式会社では、名古屋エリアで土地活用から確定申告まで、幅広いサポートを行っています。大切な資産を有効活用したいと考えている方は、お気軽にご相談ください。

監修者:市川 裕恭
CFP 宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士
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