土地活用コラム

土地活用に潜む6つのリスクとは?回避方法や活用方法別の問題点を解説

土地活用は、遊休地を収益源へと転換する有効な手段です。活用方法にはさまざまな選択肢があり、その土地に合ったものを選ぶことで、安定した収入の確保や相続対策につながります。

一方で、実際に土地活用を始めてから「思ったように利益が出ない」「維持や管理が大変」といった問題を抱えるオーナーも多いです。土地活用が失敗に終わってしまう背景には、いくつかの共通するリスクが挙げられます。

本記事では、土地活用における代表的なリスクを6つに分類してご紹介します。さらに後半では活用方法別の想定すべき問題点を解説しますので、これから土地活用を始めたいとお考えの方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

※本記事は2025年8月時点の情報です

土地活用の代表的なリスクと回避方法

土地活用の現場にはさまざまなリスクが潜んでいます。代表的なものには、以下の6つが挙げられます。

  • 需要とのミスマッチ
  • 初期投資・資金計画不足
  • 収益性の低下
  • 管理・運営の手間
  • 契約・法務上のトラブル
  • 相続時のトラブル

リスクの詳細と回避方法について、一つずつ見ていきましょう。

需要とのミスマッチ

土地活用では、立地条件や活用方法と需要がどれだけマッチするかが重要です。需要に適していない状態では、入居者が集まらない可能性があります。

リスクを回避するには、計画の段階から周辺人口の年齢層や世帯構成、交通アクセス、競合状況などを詳しく分析する必要があります。土地活用は一度活用方法を決めるとその後の変更が難しい傾向にあるため、長期的な視点で計画を立てることが重要です。

初期投資・資金計画不足

土地活用を始めるに当たり初期投資や資金計画が不十分だと、想定外の出費や空室期間が生じることによって、費用が不足したり赤字になったりする可能性があります。ローンの返済が滞れば、土地や建物を売却しなければならない状況にもなりかねません。

実際のところ土地活用に必要な経費には、建物の建設費の他にも登記費や広告宣伝費、引き渡し後の管理費・修繕費などさまざまなものがあります。全てを含めた総投資額を把握することが重要です。

なお借入をする際は利息が発生する点も理解した上で、しっかりとした返済計画を立てましょう。

収益性の低下

土地活用では、計画当初と比べて人口や周辺環境が大幅に変わり、賃料を下げなければいけないような状況も考えられます。特に築年数が経過した物件は賃料水準が下がりやすいため、それを見越した計画を立てておく必要があります。

金利の変動や法令の変更などを考慮しておくことも大切です。これらが大きく変わっても成り立つような計画でなければ、問題が起きるリスクは高いと言えます。リスクを避けるには、さまざまシナリオを想定し、長期的に収支の安全域を確保できる範囲で計画を立てるようにしましょう。

管理・運営の手間

土地活用で賃貸経営を行うのであれば、入居者対応や賃料の回収、修繕手配などの日常業務が発生します。自主管理をすればコストを抑えられますが、オーナー自身が業務を負担しなければなりません。十分な知識や経験が足りない場合、トラブル解決に時間を要するリスクが高く、さらなる問題につながる可能性があります。

リスクを回避するには、信頼できる管理委託会社を利用するのがおすすめです。委託料やサービス内容をしっかりと精査し、収支計画に見合うパートナーを選んでください。

契約・法務上のトラブル

土地活用にはさまざまな法務リスクがあります。契約内容の不備や法令の理解不足は、長期的な経営リスクに直結するでしょう。

建築の段階では、建築基準法や都市計画法、地方自治体の条例などを事前に確認しておかなければ、事業計画が頓挫する可能性があります。建築後に問題が発生することのないよう専門家に相談しながら計画を進めれば、リスク回避につながるはずです。

また賃貸借契約においては、資産の所有区分や原状回復の定義を明確にする必要があります。これらが曖昧なまま契約すると、入居者が退去する際、修繕費をどちらが負担するかなどでトラブルになる可能性があります。

その他、サブリース業者がオーナーから建物の一括借上を行う「サブリース契約」に関する問題も、近年よく取り上げられています。サブリース契約には家賃保証や空室保証をうたっているものがよくありますが、これらは一定の期間の後に家賃の減額を検討する必要が出てくるケースが多いです。

※参考:消費者庁.「サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!」,(参照2025-08-22).

相続時のトラブル

土地活用では、建物の固定資産税や収益に対する所得税を納める必要が出てくる一方、贈与税や相続税の節税効果が期待できます。2025年現在は贈与税や相続税に関する減税措置が取られているため、土地を空地や空き家の状態のまま放置せず活用した方が、節税効果を得られるケースは多いでしょう。

しかし、節税効果が高いからという理由だけで収益性の低い活用方法を選んでしまうと、経済的な損失が大きくなる場合があります。相続を受けた人は、土地活用にかかるランニングコストも引き継ぐことになるため、状況によっては資金不足に陥るかもしれません。

また活用している土地を相続するに当たり、相続を受ける人が複数居る場合は、その人たち同士で意見が対立するリスクもあります。相続を視野に入れた土地活用を行う際は、相続をする側がしっかりと契約内容を整理し、相続を受ける人たちの合意を得た上で計画を立てると良いでしょう。

「活用方法別」に見る土地活用の問題点

土地活用のさまざまなリスクから発生する問題点は、活用方法ごとに傾向が見られます。ここでは代表的な活用方法と、それぞれのよくある問題点を解説します。

アパート

アパート経営は、少ない敷地面積でも始めやすく、比較的安定した収益が見込める土地活用です。

アパート経営でよくあるのは、空室問題です。例えば単身者の多い都市でファミリー層向けの間取りのアパートを建築した場合、入居者がなかなか集まらず空室期間が長引く可能性があります。競争の激化や人口減少エリアでの需要縮小も影響するでしょう。周辺のアパートの家賃相場が下がれば、既存入居者がより安いアパートへ移ってしまい、新規募集時の賃料引き下げが必要となるケースなどが考えられます。

マンション

マンション経営は大規模な土地活用として選ばれることが多い活用方法です。

この方法は初期投資額が大きくなるケースが多く、自己資金が少ないとローン返済が長期化し、金利変動や収益悪化に対する耐性が低くなるという問題点があります。

また駅距離や周辺商業施設といった生活面の利点や、防音性や収納量など設備面の長所がなければ、競合する他のマンションと比べて見劣りし、空室が続いてしまうケースも考えられます。

さらに、自主管理をする場合は、入居者同士のトラブルに適切に対応できなければ退去されてしまう可能性もあるでしょう。空室期間の収益が得られないだけではなく、新たな入居者を探す労力やコストも発生します。定期的な清掃やメンテナンスを怠ると老朽化が進み、建物の資産価値が低下することも懸念されます。

その他、相続でマンションを経営することになった人が賃貸経営の経験や意欲を持たない場合、空室対策や入居者対応、建物管理などが十分に行えず、収益性が低下することも問題点として挙げられるでしょう。

賃貸併用住宅

自宅と賃貸を同じ建物内に作る賃貸併用住宅では、条件を満たしていれば、住宅ローン控除による節税が期待できます。また家賃収入を生活費や自宅部分のローン返済に充てることも可能です。ただし、家賃収入を前提とした返済計画では、空室が出た際に資金不足となる可能性があります。

また賃貸併用住宅では建物の構造上、入居者と生活動線が被り、プライバシーの確保が難しくなる問題が考えられます。自宅部分と賃貸部分の境界管理が曖昧だと、共用スペースの使い方や光熱費の按分などをめぐり、トラブルが起きる可能性もあるでしょう。

駐車場

駐車場経営は初期投資を抑えて始められ、固定資産税の軽減にもつながる活用方法です。

しかし賃貸の家賃収入などと比べると収益単価が低く、利益幅が小さいため、稼働率が少し下がるだけでも収益への大きな打撃となるでしょう。屋外駐車場の場合は天候や季節要因で稼働率が変動するため、安定収益を得るのがさらに難しい傾向にあります。

加えて、駐車場経営は需要や競合数の変化にも影響されやすいです。近隣に大型商業施設や他の駐車場が新設された場合などは、利用者数が一気に減ることも考えられます。

貸店舗

貸店舗は、立地が良ければ高い賃料収入が期待できる活用方法です。

ただしテナントが撤退すれば収入はゼロになり、次の入居者が決まるまで収益を得られません。テナントの業種によっては景気動向や流行の変化に左右されやすく、長期的に安定した経営を続けるのが難しいケースもあります。

まとめ

土地活用には多くのリスクがあります。実際に計画を立てる際は本記事でご紹介した回避方法をしっかりとシミュレーションし、複数の方法の中から持っている土地に合った活用の形を選びましょう。

安定した収益と資産価値の維持をするには、信頼できる専門家に相談することも大切です。土地活用を始めたいけれど不安が多い方、どのように土地活用を進めるべきかお悩みの方は、貝沼建設へお気軽にご相談ください。

監修者:戸田 好政
役職 企画本部副本部長
資格 不動産コンサルティングマスター 宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士 
   管理業務主任者 2級FP技能士
コラム一覧にもどる

土地活用についてのご相談はこちらから

CONTACT

どんなことでもお気軽に
ご相談ください。

お問合せフォーム

入居者さまは
こちらから

お問合せフォーム