土地活用コラム
サブリース契約は問題が起きやすい?トラブル例や「サブリース2025年問題」について徹底解説
サブリース契約には「家賃保証」や「管理の手間軽減」などの利点がある一方で、家賃の減額や契約解除をめぐるトラブルも存在しています。特に近年は「サブリース2025年問題」として、そのリスクが顕在化しています。
契約を検討する際は、仕組みを理解した上で、自身の目的に合った運用方法を見極めることが重要です。本記事では、サブリース契約の問題点や契約前に確認すべきポイントを解説します。内容を参考にしながら、契約の是非を判断してみてください。
サブリース契約の仕組み
サブリース契約とは、物件の所有者が不動産管理会社に物件を一括で貸し出し、その会社が入居者に転貸する契約方式です。空室リスクの軽減や管理の手間が省ける点から、一定の需要があります。
契約方式は主に以下の2つに分かれます。
- 家賃保証型:あらかじめ定められた一定額の賃料を、サブリース会社が毎月物件の所有者に支払う方式。入居者の有無にかかわらず収入が得られますが、将来的に賃料が見直されたり、減額されたりする可能性があります
- パススルー型:実際の入居者から得た賃料から管理手数料などを差し引き、残額を物件の所有者に支払う方式。空室が発生すれば収入はなくなりますが、収益が市場環境に連動しやすい特徴があります
いずれの方式も、契約には「賃料見直し」「契約期間」「解約条件」などの取り決めが含まれます。特に更新時や中途解約の条件は、きちんと把握していないと問題が起きやすいため、契約前の十分な確認が欠かせません。
サブリース契約のメリット
サブリース契約は、不動産活用の選択肢として広く利用されており、特に安定収入や管理負担の軽減を重視する方にとって有効な手段です。ここでは代表的な2つのメリットを紹介します。
安定した家賃収入が得られる
サブリース契約では、毎月一定額の賃料が支払われる「最低保証賃料」が設定されていることが一般的です。これにより空室があってもキャッシュフローが安定しやすくなります。ローン返済中の物件であっても、収益の急減を避けられるため安心です。
また家賃の入金や報告は、管理会社を通じて定期的に行われるケースも多いです。その場合収支の記録が整理しやすくなり、確定申告などの手続きが簡素化されます。
管理が楽になる
サブリース契約では、入居者募集、契約手続き、クレーム対応、修繕の手配など、煩雑な管理業務をサブリース会社が代行します。そのため物件運営にかかる手間と時間を大幅に削減できます。
特に賃貸経営に不慣れな方や、日中多忙な方にとっては、精神的な負担も軽減されるでしょう。物件が遠方にある場合でも現地対応を任せられるので、物理的な管理負担も小さくなります。
ただし業務範囲は契約ごとに異なるため、管理会社がどこまでやってくれるのかを事前に確認しておくことが大切です。
サブリース契約は問題が起きる可能性も
サブリース契約は便利な仕組みですが、契約書の内容を十分に理解しないまま契約すると、予期せぬ問題に悩まされる可能性があります。実際に、賃料の減額や契約解除をめぐるトラブルも多く報告されています。
こうした状況を受け、国土交通省は注意喚起を行い、2020年の賃貸住宅管理業法改正によってサブリース事業者に対する規制が強化されました。主なポイントは以下の通りです。
- 契約前にリスクや内容を文書で説明する義務
- 家賃減額や契約解除条件の明示
- 誇張的な「家賃保証」広告の是正措置
これらは、物件の所有者を保護するための制度と言えます。特に注意すべき項目としては、「賃料見直しの時期と判断基準」「中途解約の条件」「修繕費・原状回復の負担範囲」などが挙げられます。いずれも後の紛争につながりやすい内容であり、契約内容の事前確認が不可欠です。
※参考:国土交通省.「適正化のための措置(規制の内容・標準契約書等)」 ,(参照2025-07-24).
サブリース契約のトラブル例3選
続いて、サブリース契約のよくあるトラブルの代表例と、その背景や注意点について紹介します。
契約期間中の賃料の減額
契約時に提示された賃料が途中で減額される、というトラブルは非常に多く報告されています。仮に「10年間家賃保証」と書かれた契約であっても、実際には途中で見直しが可能となっているケースがあるのです。
この問題は、契約書の中に「市場環境の変化に応じて家賃を見直す」といった条項が含まれていると、発生する可能性があります。表面的な文言だけではなく、細かい契約条項の確認が不可欠です。
特に注意したいのは以下のような内容です。
- 市場家賃との連動条項の有無
- 減額の通知方法と同意条件
- 「固定額」と明記されているかどうか
賃料減額のリスクを避けるには、契約前に見直し条件を明確にしておきましょう。
サブリース会社の倒産
サブリース会社が倒産すると、賃料が支払われなくなるだけではなく、入居者対応や建物管理が停止し大きな混乱を招く可能性があります。契約自体が失効し、物件の所有者が直接入居者と新たな契約を結ぶ必要が生じるかもしれません。
リスクを軽減するには、契約前に以下を確認しておきましょう。
- 財務状況や運営実績
- 複数物件の管理実績
- 賃貸住宅管理業者としての登録有無
解約拒否
サブリース契約は長期契約が多く、物件の所有者側から一方的に解約することが難しい場合があります。以下のような条件で、希望しても解約できないケースが見られます。
- 最低契約年数が経過していない
- 解約には6カ月以上前の通知が必要
- 解約時に損害賠償が発生する可能性がある
トラブルを防ぐためには、こちらも契約期間や解除条件を事前にしっかりと把握しておくことが大切です。
「サブリース2025年問題」とは?
「サブリース2025年問題」とは、2015年頃に結ばれた10年契約型のサブリースが一斉に満了を迎えることで、契約更新や賃料見直しをめぐるトラブルが多発する懸念を指す言葉です。当時は相続税法の改正をきっかけに賃貸住宅による節税が注目され、新築アパートと長期サブリース契約が急増しました。これらの契約が満了を迎えると、次のようなリスクが起こると考えられています。
- 賃料の大幅な減額
- 更新拒否による管理会社との契約終了
- 解約条件をめぐる紛争の発生
さらに近年は、高齢化や人口減少によって賃貸需要そのものが縮小しつつあり、空室率の上昇や収支悪化のリスクも高まっています。こうした環境変化が、サブリース2025年問題をさらに深刻なものにしていると言えるでしょう。
サブリース契約を検討する際のポイント/h2>
サブリース契約は便利な仕組みですが、すべてのケースに適しているとは限りません。契約前には、他の管理手法と比較し、契約先の信頼性や契約内容を丁寧に確認することが重要です。
検討時に押さえておきたい3つのポイントを解説します。
他の管理方法と比較する
不動産管理にはサブリース以外にも選択肢があります。例えば以下のような方法が考えられます。
- 自主管理:物件の所有者自身が入居者対応や修繕などを行う方式
- 管理委託:管理業務を専門の管理会社に委託するが、サブリースのような家賃保証はない
それぞれにおけるコストや自由度の違いを理解した上で、自身の目的に合った手法を選ぶことが重要です。
管理会社の経営方針を確認する
契約を結ぶ相手である管理会社の信頼性を確認することは、非常に重要なポイントです。経営状態が不安定な会社と契約すると、倒産リスクや契約不履行の危険性が高まります。
事前に以下の点を調べておくと良いでしょう。
- 財財務状況や業歴
- 過去のトラブル有無
- 賃貸住宅管理業者登録の有無
- 入居者審査や管理体制
入居者の属性や対応体制は長期的な収益にも影響するため、実態の見極めが重要です。
契約内容をしっかりと理解する
繰り返しになりますが、契約書に明記された内容を正確に把握することは、トラブル回避の重要なカギです。特に確認すべきは以下の項目です。
- 空室時も賃料が発生するか
- 賃料見直しや契約更新の条件
- 解約時の条件や違約金の有無
疑問点があれば、契約前に専門家へ相談し、第三者の視点での確認を受けましょう。
サブリース契約はこのような方におすすめ
ここまでサブリース契約の問題について解説してきましたが、サブリース契約自体は、条件が合えば大きなメリットを得られる運用方法です。特に、次のような方にはサブリース契約の利用をおすすめできます。
- 長期的に安定した家賃収入を得たい方
- 賃貸経営の経験がなく、不動産管理に不安がある方
- 忙しくて管理業務に時間を割けない方
- 物件が遠方にあり、現地対応が難しい方
サブリース契約は、賃貸運営の煩雑さを軽減できる点で安心感があります。初めて不動産投資を行う方や、相続で物件を引き継いだ方にも適した選択肢です。
一方で、契約期間や賃料見直しなど長期的な視点での確認も不可欠です。資産運用方針と照らし合わせながら、慎重に検討しましょう。
サブリース契約でお悩みの方へ:名古屋エリアの頼れる相談窓口
サブリース契約には、家賃保証や管理の簡素化といった利点がありますが、内容を十分に理解しないまま契約すると、予期せぬリスクを抱える恐れもあります。重要なのは、ご自身の目的に合った管理手法を選び、契約内容を丁寧に精査することです。新たに契約を検討されている方は、専門家と相談しながら進めるのが安心です。
貝沼建設は、国土交通省に登録された賃貸住宅管理業者として、地域の市況や法制度に精通した体制を整え、お客さまのご要望に応じたご提案を行っています。名古屋エリアで不動産管理にお悩みの方は、ぜひ貝沼建設にご相談ください。
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