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賃貸併用住宅の間取り決めに悩む方必見!よくある間取りや設計前に考慮すべき内容を解説

自宅と賃貸部分を一つの建物にまとめた「賃貸併用住宅」は、住まいとしての快適さと、収益物件としての利回りを同時に得られる選択肢として注目を集めています。ただし賃貸併用住宅の価値を十分に引き出すには、間取り設計が重要です。ポイントを抑えてしっかりと計画しなければ、快適性や収益性を損なうリスクがあります。

本記事では、賃貸併用住宅の間取りを中心に、設計前に知っておきたいさまざまな情報を幅広く解説します。土地活用として賃貸併用住宅の建設をお考えの方は、ぜひ本記事を参考に、ご自身の土地に適した間取りを検討してみてください。

賃貸併用住宅とは?

賃貸併用住宅とは、自宅部分と賃貸部分が同じ建物内に存在する住宅を指す言葉です。建物を縦や横に分けて設けることで、自らが生活するスペースを確保しながら空いた部分で家賃収入を得られます。

賃貸併用住宅は、以下のような利点から注目されています。

  • 住宅ローンを活用しつつ賃貸収入で返済を補える
  • 相続税評価額の圧縮効果が期待できる
  • 老後の安定収入としても活用可能

ワンルームとファミリータイプの違い

賃貸併用住宅を設計する際、賃貸部分を「ワンルームタイプ」にするか「ファミリータイプ」にするかによって、収益の性質や管理の手間が大きく変わります。

ワンルームタイプは、主に単身者や学生をターゲットとした間取りです。設備も比較的簡素なことが多く、初期投資を抑えやすい点がメリットです。入居者の入れ替わりが頻繁にあるため空室リスクの波は大きいものの、回転率が高い分、需要のあるエリアでは安定的に収益を確保しやすい傾向があります。また設備や室内空間がコンパクトなので、管理コストも比較的抑えられます。

一方のファミリータイプは、夫婦や子育て世帯などの入居を想定した間取りです。広さや設備のグレードに一定の水準が求められるため、建築コストは高くなる傾向があります。ただし、一度入居すると長期間住み続けるケースが多く、収益の安定性という面では大きな魅力があります。入居者との関係も長期的になり、丁寧な管理対応が求められる点も特徴です。

それぞれのタイプには一長一短がありますが、自宅と賃貸部分のバランス、エリアのニーズ、将来の活用計画などを踏まえた上で、適切な間取りを選ぶことが重要です。

賃貸併用住宅によくある間取り設計

賃貸併用住宅の間取りには、いくつか代表的なパターンがあります。それぞれの特徴を理解し、自分のライフスタイルや将来設計に合った配置を選ぶことが重要です。

1階に自宅・2階に賃貸を配置する間取り

1階に自宅を設けるタイプは、老後の暮らしやすさを重視する方に向いています。階段を使わずに生活が完結するため、将来的な身体的負担の軽減にもつながります。

また家族の出入りがしやすく、生活動線が効率的になるでしょう。小さな子どもがいる家庭にも適した配置と言えます。

1階に賃貸・2階に自宅を配置する間取り

1階に賃貸・2階に自宅を配置するタイプの間取りは、防犯性やプライバシー確保の面で優れています。自宅部分が通行人の視線から離れるため、落ち着いた住環境が得られるはずです。

ただし、階段の上り下りが必須となることから、バリアフリーの観点では将来的に不便が生じる可能性もあります。

左右分離型で完全独立を目指す間取り

建物を左右に分ける「縦割り型」の間取りは、自宅と賃貸部分を完全に独立させやすいです。玄関や水回り、生活動線が重ならず、音の干渉も抑えられます。

この配置は長期的に自宅の快適性を重視したい方にも適しており、生活の質を落とさずに賃貸運用を行える点が大きな魅力です。2階建ての物件を縦方向に分けて使うケースも多く、左右に完全分離された構造とすることで、さらなるプライバシー確保が実現できます。

賃貸併用住宅の間取り決めで考慮すべきこと

賃貸併用住宅の設計では、単に空間を分けるだけではなく、日々の暮らしや運用面でのストレスをできるだけ抑える工夫が求められます。ここでは、自宅と賃貸を両立するために特に重要な3つの視点について紹介します。

自宅と賃貸部分の独立性をどこまで求めるか

基本的な設計判断の一つが、「生活空間をどこまで分離させるか」という点です。例えば玄関を別々に設けることで、入居者と顔を合わせる機会を減らし、住環境としてのプライバシーを確保できます。

玄関以外にも、廊下や水回りを共有するか否かなど、独立性の度合いによって建築コストや管理のしやすさが変わってくるため、自身のライフスタイルやストレス耐性を踏まえて検討することが大切です。

生活音や動線トラブルを防ぐにはどうすれば良いか

音の問題は、賃貸併用住宅における代表的なストレス要因の一つです。上下階で空間を分ける場合は、足音や生活音が響きやすくなるので、防音材を取り入れた床や壁の設計が重要です。特にキッチンやトイレなどの水回りの配置には注意が必要で、生活リズムの違いによるストレスを避けるためにも、配置や遮音対策はしっかり講じましょう。

また動線が交わらないよう、共用廊下や出入り口を分ける設計も、居住者間のトラブル防止に有効です。

将来の使い方を見越した設計ができているか

ライフステージの変化に備え、自宅部分を賃貸に転用したり、賃貸部分を二世帯用にしたりと柔軟に使える設計が求められます。

現在は自宅として使用するスペースでも、将来的にライフスタイルが変化した際に賃貸へ転用する可能性を見越して設計しておくと、資産活用の柔軟性が高まるでしょう。例えば、自宅部分に追加のミニキッチンやトイレを設けておけば、将来的に完全な賃貸ユニットとして運用しやすくなります。逆に、子ども世帯との同居などを想定する場合は、二世帯住宅として使える構造にしておくなど、長期的な視点で設計に取り組むことが重要です。

間取り設計の基本原則

賃貸併用住宅の間取りを考える際には、住み心地や収益性だけではなく、技術的・制度的な条件も踏まえた設計が求められます。建築可能な規模や形状は土地の条件によって異なるため、設計段階での事前調査と調整が不可欠です。また入居者のニーズや将来的なメンテナンス面も見据えたプランニングが、長期的な安定運用につながります。

地域の建築規制や土地条件に合うよう設計する

建物の規模や構造は、敷地がある地域の法的条件によって制限されます。具体的には、用途地域の指定によって建築可能な建物の用途が決まり、さらに「容積率」や「建ぺい率」によって延床面積や建築面積に上限が設けられています。

また道路との接道状況によっても建築許可の可否が左右されるため、設計前に自治体や建築士と相談の上、土地条件を把握することが重要です。

※参考:国土交通省.「建築基準法制度概要集」. ,(参照2025-07-24).

入居者ニーズを反映させる

賃貸部分の間取りや設備は、地域の入居者層や市場動向を踏まえて設計する必要があります。一般的に、大学が近いエリアではコンパクトなワンルームが求められやすく、子育て世代が多い地域では2LDKや3LDKといったファミリー向けの間取りが人気です。また入居者が求める設備にも地域性があり、インターネット無料、宅配ボックス、防犯カメラといった設備の有無が、競争力に影響することもあります。

ターゲット層に対して魅力的な条件をそろえられれば、空室リスクが抑えられ、安定した賃貸経営につながるでしょう。

メンテナンス・管理のしやすさを考慮する

入居後のトラブルや運用負担を軽減するには、管理面に配慮した設計が欠かせません。例えば共用部の清掃やごみ出しに関するルールを定めやすくするには、ゴミ置き場の配置やサイズを事前に計画しておくことが有効です。また設備のメンテナンスを想定し、点検口や配管スペースにゆとりを持たせると、将来的な修繕時に手間がかかりません。

日常の管理業務を意識した設計は、管理側の負担を軽くするだけではなく、入居者にとっても快適な住環境の提供につながります。

賃貸併用住宅に使えるローン

賃貸併用住宅を建てるに当たり、ローンによって資金を調達する際は、自宅部分と賃貸部分の「面積割合」によって適用されるローンの種類が異なります。一般的には、賃貸併用住宅では住宅ローンかアパートローンのいずれかを選択することになるでしょう。

それぞれの仕組みやメリット・デメリットを正しく理解した上で、自分の目的や計画に合ったローンが適用される間取りを選ぶ必要があります。

初期費用を抑えるなら住宅ローンを活用するのがおすすめ

賃貸併用住宅であっても、自宅として使用する部分が建物全体の50%以上を占める場合は、一般の住宅ローンを利用できるケースが多いです。ただし、実際の面積割合の判定や利用条件は金融機関によって異なるので、事前に確認しておくことが大切です。

住宅ローンは金利が低く、借入期間や返済条件が比較的有利に設定されているため、初期費用を抑えながら計画を進めたい方に適しています。また住宅ローン控除などの税制優遇措置を活用できる点も、大きなメリットといえるでしょう。

収益重視ならアパートローンも視野に

賃貸部分の面積が半分を超える場合や、収益性を重視して複数戸を運用したいといったケースでは、多くの場合住宅ローンが利用できません。そこで代わりとなるのが「アパートローン(投資用ローン)」です。

アパートローンは事業用ローンの一種のため、収益性や返済能力、物件の収益見込みなどが重視されます。審査は一般的に住宅ローンよりも厳格です。また金利は住宅ローンよりも高めに設定されているのが普通で、自己資金の割合も多く求められる可能性があります。

賃貸経営による安定収入が見込める場合には、将来的なキャッシュフローを試算した上で、アパートローンを活用するのも選択肢として有効です。事業計画をしっかり立て、金融機関と相談しながら進めることが成功の鍵となります。

賃貸併用住宅を建てる際は専門家に相談するのがおすすめ

賃貸併用住宅は、自宅としての快適性と、賃貸物件としての収益性の両立を目指す住宅形態であることから、設計・ローン・税制など複数の専門領域が関係します。そのため、個人の知識や経験だけで判断を進めてしまうと、後になって予期せぬトラブルや不利益が生じる可能性があります。

例えば、面積配分を誤って住宅ローンの適用条件を外れてしまったり、将来的に賃貸部分が空室になりやすい間取りを選んでしまったりするケースは、決して珍しくありません。こうした失敗を避けるには、設計段階から建築士やファイナンシャルプランナー、不動産の専門家と連携し、第三者の視点でプランを見直してもらうことが有効です。

また、地域の不動産市場に精通した実績のある建築会社に早めに相談しておくと、土地条件に適した間取り提案や収益性の高い賃貸プランの策定、ローン選びまで一貫して支援を受けられるでしょう。計画段階から伴走してもらえるパートナーを見つけることが、賃貸併用住宅を成功させる大きなポイントです。

まとめ

賃貸併用住宅は、自宅としての居住性と、収益物件としての安定性を兼ね備えた魅力的な住宅形態です。しかしその一方で、間取りの設計次第で快適性や収益性に大きな差が生じる可能性があるため、計画段階から慎重な検討が求められます。

これから賃貸併用住宅を建てたいとお考えの方は、愛知県・岐阜県で数多くの実績を持つ貝沼建設へご相談ください。設計から土地活用、運用まで、トータルでサポートいたします。

 

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