土地活用コラム

等価交換による不動産活用|メリット・デメリットと注意点

土地の所有者と開発会社が所有権を分配する等価交換は、不動産活用の方法の一つです。リスクを抑えて不動産を活用できるなど、土地の所有者にメリットがある手法として注目を集めています。一方で、等価交換には権利関係が複雑になるなどのデメリットもあるため、事前に把握しておきましょう。

本記事では、不動産活用における等価交換の仕組みやメリット、デメリットなどをご紹介します。等価交換の基本的な流れについても解説しているため、土地を所有している方はぜひ参考にしてください。

等価交換とは? 不動産活用の新たな選択肢

まずは、不動産活用の選択肢の一つである等価交換の基本的な仕組みや、注目されている背景を確認しておきましょう。

等価交換の基本的な仕組み

等価交換とは、価値が等しいもの同士を交換することを意味します。不動産活用における等価交換とは、土地の所有者と開発会社が共同で建物を建設し、所有権を分配する取引形態です。

等価交換の仕組みは以下の通りです。

  • 土地の所有者が土地を提供し、開発会社が建設費などを負担してマンションやアパートといった建物を建設
  • 建物が完成したら、それぞれの負担割合に応じて土地と建物の所有権を分配
  • 同じ価値があると見なして、土地の所有者と開発会社で土地の一部と建物の一部を交換する

等価交換は、以下の2つの方式に分けられます。

  • 全部譲渡方式
  • 部分譲渡方式

どちらの方式でも最終的には土地と建物の所有権を分配しますが、プロセスが異なるため注意しましょう。

全部譲渡方式

全部譲渡方式は、いったん、土地全体を開発会社へ売却する方法です。全部譲渡方式は、いったん、土地全体を開発会社へ売却する方法です。建物が完成したら土地の所有者は、売却した土地の価格と等価となる部分の建物と土地を購入します。土地の権利者が複数人いる場合などに適しています。

部分譲渡方式

部分譲渡方式は、土地の一部のみを開発会社へ売却する方法です。例えば、最終的に「土地所有者:開発会社 = 50%:50%」の割合で所有権を分配する場合は、土地の50%を開発会社へ売却します。

等価交換が注目される背景

等価交換に注目が集まっている理由として、リスクを抑えて土地活用ができることが挙げられます。詳細は後述しますが、等価交換では開発会社に建設費用やノウハウを提供してもらえる他、自己資金を使うことなく大切な土地を有効活用できるでしょう。

ただし、等価交換にはデメリットや注意点もあります。等価交換以外の方法を検討すべきケースもあるため、次の項目でご紹介するメリット・デメリットをしっかりと把握しておくことが大切です。

等価交換で得られるメリット

等価交換には、自己資金やリスクを抑えて不動産を活用できる、相続税対策につながるなどのメリットがあります。それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

自己資金を抑えた不動産活用

自己資金を抑えて不動産を活用できることは、等価交換の大きなメリットです。自分でマンションやアパートを建設する場合、多額の自己資金を準備したり、ローンを組んだりする必要があります。場合によっては、建設後の入居者募集がうまく進まず、ローンを返済しながらの経営が苦しくなることもあるでしょう。

一方で等価交換においては、基本的に開発会社が建物の建設費用を負担するため、土地の所有者は自己資金を用意する必要はありません。借金をする必要もないため、リスクを抑えた不動産活用が可能です。使わなかった自己資金を投資したり、生活費に充てたりするなど、選択肢の幅も広がります。

土地の有効活用と収益性向上

土地を有効活用できることも、等価交換のメリットの一つです。土地を所有しているものの、どのように活用すればよいか分からないというケースもあるでしょう。売却して現金化する方法もありますが、大切な土地を手放すことに抵抗を感じる方も多いかもしれません。

等価交換の場合、土地を全て手放すことなく、収益性を高めることができます。土地の一部所有権は譲渡する必要がありますが、建物の区分所有権を取得することで、引き続き家賃収入を得ることが可能です。さらに、開発会社のノウハウを得られるので、専門的な知識がなくても土地を有効に活用できます。

相続税対策としての活用

等価交換は、相続税対策としても有効です。基本的に土地を相続した場合は、その評価額に基づいて相続税を納めます。土地の所有権を100%保有している場合は、相続税の全額を自分で負担しなければなりません。土地の評価額が高くなるほど相続税も高額になるため、負担を減らしたいと考えるケースもあるでしょう。

等価交換を行えば、土地の所有権の一部を開発会社へ譲渡するため、所有権の割合に応じて相続税を減額できるケースもあります。節税対策としての効果も期待できるため、多額の相続税を納付したくない場合は等価交換を検討しましょう。

煩雑な管理業務からの解放

等価交換を行えば、煩雑な管理業務から解放されます。契約内容にもよりますが、建設したマンションやアパートの管理業務を開発会社が請け負ってくれるケースも多いためです。

マンションやアパートを経営する場合、入居者を募集したり、賃貸契約書を作成したりと多くの管理業務が発生します。建物の掃除や退去時の状況確認、大規模修繕など、手間のかかる業務に追われるケースもあるでしょう。特に建物の規模が大きい場合は自分で管理するのが難しいため、開発会社などに任せて手間をかけずに不動産を活用するのがおすすめです。

等価交換のデメリットと注意すべき点

さまざまなメリットがある一方で、等価交換にはデメリットも存在します。等価交換をしてから後悔しないように、それぞれのデメリットについて把握しましょう。

権利関係の複雑さ

権利関係が複雑化することは、等価交換の大きなデメリットです。土地や建物を開発会社と共同で所有する状況になるため、自分だけで所有している場合とは異なり、さまざまな制約が発生します。

例えば、建物を手放したいと思っても、基本的には開発会社の同意がなければ売却できません。また、大規模修繕やリノベーションなども自由には行えず、開発会社の同意を得る必要があります。長期間にわたる共同事業であるため、等価交換を行う前に慎重に検討しましょう。

事業計画の不確実性

等価交換によってマンションやアパートを建設したとしても、安定した収益を得られるとは限りません。入居者がうまく集まらず、期待していたほどの収入を得られないケースもあるでしょう。家賃設定や入居者の募集方法について、専門的な知識を持つ開発会社と相談しながら進めることが大切です。

さらに、土地の形状が整っていない場合や面積が小さい場合などは開発会社のメリットが少ないため、等価交換が実現しにくい点もデメリットの一つです。別の活用方法を検討する必要があります。

信頼できる事業パートナー選びの重要性

等価交換を行う場合は、パートナーとして信頼できる開発会社を選ぶようにしましょう。等価交換では大切な土地の一部を開発会社へ譲渡し、共同で事業を進めます。専門的な知識やノウハウを持つ開発会社が計画を主導していくケースも多いため、信頼して任せられるパートナーを探す必要があります。

開発会社の選定や所有権分配の協議などに時間がかかる可能性もありますが、後悔しないようにしっかりと検討した上で進めましょう。

等価交換の流れと契約のポイント

等価交換の流れは状況や目的などによって異なりますが、事業計画の提案、所有権の譲渡方法の決定、契約締結、工事の実施という流れで進めるのが一般的です。ここからは、等価交換の主な流れと契約のポイントについて確認しておきましょう。

事業計画の提案と検討

等価交換によって建物を建てるときは、事業計画の全体的なイメージを明確にしておく必要があります。どのような建物を建設したいのか、どの程度の収入を得たいのかなど、自分なりにイメージしておきましょう。具体的なイメージを持っておけば、事業計画のゴールが明確になり、開発会社との話し合いを進めやすくなります。

立地が良い場合や建物を建てやすい土地の場合、開発会社側から事業計画の提案が持ち込まれるケースもあります。先述した通り、等価交換は長期間にわたる事業になるため、所有権をどのように分配するのか、どの程度の収入を得られるのかをしっかりと検討しましょう。

所有権の譲渡方法の決定

所有権の譲渡方法には、部分譲渡方式と全部譲渡方式があります。土地の権利者が複数人いる場合などは全部譲渡方式を選ぶケースもありますが、特に問題がなければ部分譲渡方式が選ばれるケースが多いです。

さらに、開発会社との打ち合わせを通して、土地の評価や新しく建設する建物の規模・間取り、キャッシュフローなどを確認しましょう。開発会社に専門的な視点から提案してもらう他、自分の希望と異なる場合は要望を伝えたり変更してもらったりしましょう。

契約締結

等価交換の方法や事業計画に納得できた場合は、契約を締結します。契約締結によって所有権の割合などが決まるため、設計図書や契約書の内容をしっかりと確認しましょう。

設計や施工を開発会社から別の業者へ委託する場合は、仲介手数料や外注費についても確認しておく必要があります。契約内容に不安がある場合は、弁護士などの専門家にチェックしてもらいましょう。

工事の実施と完成後の権利移転

契約締結後、工事がスタートします。基本的には開発会社や施工業者が図面に従って建設を進めますが、土地の所有者も進捗状況を随時チェックしましょう。建物が完成したら、契約内容に沿って権利を移転します。

等価交換をして、適切に土地を活用しよう

本記事では、不動産活用における等価交換の基本手式やメリット、デメリットなどをご紹介しました。等価交換には、自己資金を抑えて不動産を活用できる、相続税対策を図れるなど、さまざまなメリットがあります。一方で権利関係が複雑になる、安定した収益を得られるとは限らないなどのデメリットもあるため、事前に把握しておくことが大切です。

貝沼建設株式会社は、半世紀以上、名古屋エリアで土地活用に関するトータルサポートを行っています。

所有している土地の資産価値向上はもちろん、次代への継承や時流の見極め、将来性、地域社会への貢献などを見据えたご提案をしますので、土地活用でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

監修者:戸田 好政
役職 企画本部副本部長
資格 不動産コンサルティングマスター 宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士 
   管理業務主任者 2級FP技能士
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