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土地活用コラム

相続時精算課税制度について

今回は、贈与者が財産を贈与する方法のうち、相続時精算課税制度についてお話しします。

①相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度は、一定の要件に該当する方が、暦年贈与(基礎控除額110万円)制度との選択により適用できる制度で、贈与時には、贈与財産の贈与時の評価額の合計額(※注1)が2,500万円に達するまでは、贈与税の申告のみで、贈与税の課税はされませんが、その後、贈与者の相続が発生した時には、当該制度選択後のその贈与者から贈与を受けた全ての財産の贈与時の評価額を相続財産に加算して相続税を計算し、相続税が課税されるといった制度です。
(※注1)評価額の合計額ですので、相続時精算課税制度を選択して、複数年に渡り贈与することも可能です。

②相続時精算課税制度の適用要件

相続時精算課税制度には、いくつかの要件があります。
贈与者(A)の年齢がその年の1月1日現在60歳以上の父・母・祖父・祖母であること
受贈者(B)の年齢がその年の1月1日現在18歳以上の推定相続人である子又は同日現在18歳以上の孫であること

上記の要件により、相続時精算課税制度を選択すると、贈与者(A)と受贈者(B)が固定されます。その固定された贈与者(A)から受贈者(B)への贈与は全て相続時精算課税制度による贈与として取り扱い、以後は、当該贈与者(A)から受贈者(B)への贈与は暦年贈与制度に戻すことができません。尚、受贈者(B)が相続時精算課税制度を選択する年の前年以前に贈与者(A)から贈与を受けた財産、受贈者(B)が、相続時精算課税に係る贈与者以外の方(C)から贈与を受けた財産については、暦年贈与制度の適用を受けることとなります。

●受贈者(B)は、この制度により贈与を受ける最初の年の贈与税の申告の際に、『相続時精算課税制度選択届出書』、受贈者(B)の戸籍の謄本等の書類・マイナンバーカード等を添付すること
相続時精算課税制度に係る贈与者(A)と受贈者(B)の続柄を確認するために必要です。

●受贈者(B)は、相続時精算課税制度選択後、その後の年に贈与者(A)から2回目以降の贈与を受けた場合には、贈与税が発生しなくても、その都度、贈与税の申告を行うこと
相続時精算課税制度を選択した後、受贈者(B)が贈与者(A)から贈与を受けた財産の評価額の合計額が2,500万円を超えているかどうかを税務署に報告するために申告が必要となります。

●受贈者(B)は、相続時精算課税に係る贈与者(A)からの贈与財産の評価額の合計額が2,500万円を超えるときは、その超える部分につき一律20%の贈与税を納付すること
この場合、納付済みの贈与税は、既に納付した相続税として取扱い、相続税申告の際に清算(控除)の対象になります。

③贈与者の相続が発生した場合の相続税申告

相続税法基本通達で、『相続税の申告書を提出しなければならない者は、相続又は遺贈(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものに係る贈与を含む。)によって財産を取得したもので…(略)』と規定されています。つまり、贈与者(被相続人)(A)の相続があった場合には、相続時精算課税制度を選択した受贈者(B)は、当該制度選択後にその被相続人(贈与者)(A)から贈与を受けた全ての財産の贈与時の評価額を相続財産に加算して相続税の計算をして、相続税が発生したときは、相続税を納付することとなります。

④相続時精算課税制度のメリット

相続時精算課税制度のメリットとしては次の通りです。

●値上がりが確実な財産を贈与すれば、後の相続税の節税が可能となる。
例えば、相続時精算課税を選択し、贈与時の評価額が1,000万円の株式を贈与したとします。
その後被相続人(贈与者)(A)の相続発生時のその株式の評価額が2,000万円に上昇していたとしても、相続財産として加算する金額は贈与時の評価額(1,000万円)で評価します。相続財産の評価額が贈与時に比べ1,000万円減少し、『評価額の減少額×税率』分の相続税の節税効果が得られます。

●収益物件を贈与すれば、贈与者(A)の所得税・住民税等の負担が軽減される
受贈者(B)の所得税・住民税等の負担は増加しますが、税率の高い贈与者(A)の取得が減少し、税率の低い受贈者(B)の取得が増加するので、世帯全体で考えると、『税率の差』分、贈与後の毎年の所得税・住民税等を抑えることができます。
また、収益物件の生み出す収入は、贈与後は受贈者(B)の手許に入りますので、受贈者(B)の将来的な資金(相続税の負担等)をあらかじめ準備することができます。

➄相続時精算課税制度のデメリット

相続時精算課税制度のデメリットとしては次の通りです。

●小規模宅地等の減額の特例を適用することができない
相続時精算課税制度を利用して土地を贈与し、その後、被相続人(贈与者)(A)の相続税の計算をする際、当該土地は小規模宅地等の減額の特例(※注2)を適用することができません。
(※注2)相続財産である土地につき、一定の要件を満たすものについては、相続税評価額から一定額を減額する特例制度をいいます。

●相続税・贈与税以外の税金がかかることがある
取得事由が贈与であるため、贈与財産が土地・建物等といった登記物件の場合、受贈者(B)に対し、相続事由では発生しない不動産取得税や登記免許税等が発生する場合があります。

●受贈者が孫の場合には相続税負担が増加することもある
祖父母が贈与者(A)で、代襲相続人(※注3)でない孫が受贈者(B)の場合、被相続人(贈与者)(A)の相続税の計算の際に孫(B)の相続税については2割加算の対象になり、相続税負担が増加することがあります。
(※注3)代襲相続とは祖父母の相続時に、本来相続すべき「子」が既に亡くなっている場合、その「子」の子である孫がその「子」に代わって祖父母の財産を相続することをいい、代襲相続人とは当該孫のことを言います。

●価格が減少する財産の場合、相続税負担が増加する
上記のメリットの逆で、被相続人(贈与者)(A)の相続税の計算は、贈与時の評価額で相続財産に加算されますので、相続発生時の評価額が贈与時を下回ると、相続税負担が増加することとなります。

●相続税の物納ができない
相続税は原則として金銭一時納付ですが、納付が困難な場合には、延納・物納といった制度があります。しかし、相続時精算課税制度を利用した贈与財産(金銭等を除く)を物納することができません。

●その他のデメリット
上記❷で述べましたが、贈与者(A)から受贈者(B)への贈与は暦年贈与制度に戻すことができません。また、相続時精算課税制度を選択し、複数年に渡る贈与がある場合には、贈与者(B)は、贈与の都度、贈与税の申告が必要になります。

⑥最後に…

相続時精算課税制度の選択を検討される方は、これらのメリットやデメリットを十分に考慮した上で判断しましょう。
また、相続時精算課税制度を選択する場合には、書類に作成、贈与財産の管理などが必要となりますので、事前に税理士に相談することをお勧めします。

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