土地活用コラム

皇室と税金について

皇室と税金について
平成から令和に元号が改められました。今回の改元は現上皇陛下が生前退位されたことによるもので、生前退位に伴う皇位継承としては第119代光格天皇の文化14年(1817年)以来202年ぶりのことだそうです。今回は雑学っぽくなりますが、皇室と税金についてお話しします。

1.所得税・住民税の課税関係
所得税法第9条には非課税の項目があげられており、このうち、皇室に関係するものとしては「皇室経済法第3条、第4条及び第6条の規定により受ける給付」としています。これに該当するものとして、「内廷費」「皇族費」「宮廷費」が日本国から支給されます。
天皇家と皇太子家には「内廷費」が支給され、天皇家・皇太子家以外の皇族には「皇族費」が支給されます。
また、「宮廷費」は、儀式、国賓・公賓等の接遇、行幸啓、外国へのご訪問といった皇室の公的な活動等に必要な経費、皇室用財産の管理に必要な経費、皇居等の施設の整備に必要な経費として支給されます。これらの支給される金品については、所得税・住民税とも非課税となります。

但し、上記以外の所得については、我々一般国民同様に納税義務があります。例えば皇室の方が書籍を出版したことによる印税、講演を行ったことによる報酬、外部の研究機関に勤務したことによる給与などには所得税・住民税が課税されます。
余談ですが、昭和天皇は生物学者として有名で、たくさんの書籍を出版していましたが、陛下はその著作権使用料を一切受け取らず、その代わりにその書籍を各国の研究所、図書館、研究者などに寄贈されたそうです。

2.相続税の課税関係
相続税法第12条には非課税の項目があげられており、このうち皇室に関係するものとしては、「皇室経済法第7条の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物」としています。

記憶に新しいものとしては、今年の4月30日の退位(たいい)礼(れい)正殿(せいでん)の儀(ぎ)で当時の天皇陛下(現上皇陛下)、及び5月1日の剣璽(けんじ)等(とう)承継(しょうけい)の儀(ぎ)・即位(そくい)後朝(ごちょう)見(けん)の儀(ぎ)で、現天皇陛下とともに運ばれ、陛下の前にある「案」に置かれていた「八尺瓊(やさかにの)勾玉(まがたま)」「草薙藝之(くさなぎの)大刀(たち)」をはじめとする「三種の神器」が該当します。このほか、宮中祭祀が行われる皇居・宮中三殿や歴代の天皇陛下の直筆の書など、約580点の品々も該当します。

但し、上記以外の資産については、我々一般国民同様に納税義務があります。例えば、昭和天皇が崩御(ほうぎょ)された際には、相続税の課税価格が約18億円となり(注)、当時の光淳皇后陛下と当時の皇太子殿下であった現上皇陛下が2人で遺産を相続され、現上皇陛下は約4億2800万円の相続税を納付されたそうです。
(注)当時は昭和天皇陛下から現上皇陛下への代替わりの儀式に要する費用を私費で賄う可能性があったため、宮内庁幹部が株式投資などの積極運用をした結果、相続税の課税財産が約20億円となり、葬儀費用の一部及び日本赤十字社への寄付を差し引いて相続税の課税価格約18億円となりました。
また昭和天皇の弟宮でいらっしゃる高松宮宜仁親王殿下が薨去(こうきょ)された際には、日本経済がバブル期の真っただ中で相続税評価額が莫大となり、相続人であった同妃喜久子殿下は、高輪の御用地を国に寄贈し、更には神奈川県葉山町の別邸を売却するなどして一部納税資金を捻出されたとのことです。

 

3.贈与税の課税関係
贈与税は、相続税法で規定されています。相続は資産の「所有者の死亡」に伴い行われるものです。「死亡」に係る相続についてのみの税制を規定してしまうと、「生前」に資産の移転が行われる「贈与」を抜け穴として課税回避が行われることが想定されることから、この課税回避を防止するために相続税と贈与税は同じ相続税法で規定しています。

前述のとおり、「三種の神器」などの皇位とともに皇嗣が受けるものは、相続税法に「相続税は非課税」と明文化されていますが、贈与税にはこの非課税の規定がありません。相続税法自体昭和25年に制定されたものですので、今回のような生前退位に伴う皇位継承を想定していませんでした。法律改正しなければ皇位継承の際『三種の神器』などに贈与税が課税されるという問題が生じました。

ここで登場するのが、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」です。即位等朝見の儀において、天皇陛下が初のお言葉で「日本国憲法及び皇室典範特例法の定めるところにより(以下省略)」と賜れました。
この「皇室典範特例法」は、今回の皇位継承に限って適用される法律で、平成31年4月30日に施行されました。その特例法の附則第7条において「皇位の敬称があった場合において皇室経済法第7条の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物には贈与税を課さない。(以下省略)」と規定されました。

 

4.その他の税の課税関係
その他の税金としては、調べた結果次のようなことがわかりました。
① 固定資産税…皇居その他の御用地は日本国憲法に施行により、全て国の所有となっている為、固定資産税は課税されません。
地方税法にも以下の規定があります。
「固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。(中略)
 国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合及び財産区が公用又は公共の用に供する固定資産
一の二 皇室経済法第七条 に規定する皇位とともに伝わるべき由緒ある物である固定資産」

② 自動車税…御料車として使われている「センチュリーロワイヤル」は、宮内庁の所有物であるため、宮内庁が国税である重量税を納付しているとのことです。因みに、地方税である自動車税は非課税だそうです。

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