土地活用コラム

給付金と税金について

今年の2月以降、新型コロナウイルス感染症が世界中で流行し、景気が低迷している中、経済対策として様々な助成金、給付金が交付されたり、緊急融資が行われたりしています。
今回は新型コロナウイルス感染症に関する給付金・助成金等と税金について説明します。

新型コロナウイルス感染症に関する給付・助成金
新型コロナウイルス感染症が原因で給付される給付金・助成金として主に次のものがあります。
①特別定額給付金
皆さんもご存じの通り、外出自粛で感染拡大防止に協力している国民に対し、総務省から支給される給付金で、令和2年4月27日時点で住民基本台帳に記載されている人に対し、申請書を提出することにより1人あたり10万円が支給されます。
②持続化給付金
感染拡大防止対策により、売上が大幅に減少した個人事業主等に対し、経済産業省から支給される支給金で、令和2年1月以降の月間売上が前年同月の売上の50%を下回る等の一定の要件を満たせば申請書を提出することにより中小法人には最大で200万円、個人事業者主には最大で100万円がそれぞれ支給されます。
③自治体別の休業協力金
一定期間にわたり休業や営業時間の短縮を要請された事業主に対して自治体から支給される協力金で、申請書を提出することにより、協力金が支給されます。尚、自治体によって支給額や名称が異なります。
④雇用調整助成金
新型コロナウイルス感染症の影響を受け売上が減少しても、雇用維持に努めている事業主に対して厚生労働省から支給される助成金で、従業員に休業手当を支給するなど一定の要件を満たせば、申請書を提出することにより休業手当の補てんとして支給されます。

 

 

給付金・助成金は課税されるか否か
では、これらの給付金・助成金等に課税されるのか否かといった問題について説明します。
●給付金・助成金等と消費税
消費税法では、『対価を得て行われる資産の譲渡等』に対し消費税が課されることになっています。給付金・助成金等はこの『対価を得て行われる資産の譲渡等』には該当しないため、消費税の課税対象から除外されます。

●給付金・助成金等と所得税
上記の4つのうち、①特別定額給付金については、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するため国税関係法律の臨時特例に関する法律」により、所得税・住民税ともに非課税となっています。
一方、②持続化給付金 ③自治体別の休業協力金 ④雇用調整助成金 については、事業主が支給を受けるものであるため、所得税・住民税の課税対象となります。

課税対象となる理由
「国や自治体などから交付されるお金に課税するのはいかがなものか」という意見もありますが、税法の考え方から、事業者が支給を受ける給付金・助成金等が課税対象となる理由を説明します。

 

 

Ⅰ.条文の解釈から(※読みやすいように条文の一部を省略・改編しています。)
所得税法執行令第94条では、次の規定となっています。
「事業を行う者が、事業の休止等により収益の補償として取得する補償金・給付金等で、事業所得に係る収入金額に代わる性質を有するものは事業所得に係る収入金額とする。」
②持続化給付金 ③自治体別の休業協力金 は、「売上が大幅に減少したため」「休業や営業時間の短縮を要請されたため」に支給を受けるので、税法上は、「収入金額の代わる性質(売上の補てんとしての性質)を有する補償金・給付金等」であると考え、事業所得の収入金額としています。
また、所得税法執行令第30条では、非課税とされる損害賠償金・給付金等の規定の中で『非課税とされる給付金等のうちに、事業所得の必要経費に算入される金額を補てんするための金額が含まれている場合には、当該金額は非課税とされる金額から除く(=課税する)。』と書かれています。 ④雇用調整助成金 は「従業員に休業手当を支給するため」に支給を受けるので、税法上は、「従業員給与(必要経費)の補てんするための金額」であると考え、非課税所得から除外しています。

Ⅱ.課税の公平から見地から
税法には、「課税の公平」というテーマがあります。「課税の公平」とは、収入も経費も同じである場合、所得金額が同額となり。税金も同じだけ課するという考えです。(説明の都合上、所得控除は除外しています。)
例えば、AさんとBさんが同じ事業をしていて、Aさんは事業を行い150万円稼ぎ、経費が60万円発生したので、事業所得は90万円となり所得税が課税されました。
一方のBさんは売上が50万円まで落ち込んだので、給付金を100万円受取り、経費が60万円発生しました。もし、Bさんが受け取った給付金が非課税となると、Bさんの事業所得は50万円ー60万円=△10万円となり所得税が課さないこととなります。
収入の原資が売上であるか給付金であるかは別として、AさんもBさんも事業収入が150万円、経費が60万円であることには変わりません。にもかかわらず、Aさんには所得税が課され、Bさんは所得税が課されないのは、「課税の公平」が保たれないこととなってしまいます。

 

 

Ⅲ.給付金の課税の取り扱いが公表されました
この原稿を執筆中に『国税における新型コロナウイルス感染症防止対策への対応と申告や納税などの当面の税務上の取り扱いに関するFAQ』に、給付金等の課税関係の例示が公表されました。例示の表は紙面のスペースの関係上割合しますが、国税庁のホームページ(下記アドレス)で確認することができます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/faq.pdf

 

その他の支援制度
今回ご紹介した給付金・助成金等以外にも、「子育て世帯への臨時特別給付金」「学生支援緊急給付金」「低所得ひとり親世帯への臨時特別給付金」等の支援制度があります。インターネットで『新型コロナ対策支援制度まとめ』を検索し、該当する制度があるかを確認することができます。
なお、事業主が受ける給付金・助成金の支給を受けた場合には、確定申告する必要がありますので、確定申告の際に税理士にご報告ください。

 

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