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土地活用コラム

契約書がない滞納入居者への対応について

数年前からの古い入居者の場合、契約書を紛失しているとか、代替わりをしているとか、そもそも契約書を取り交わしていないという場合があります。そのような入居者が家賃を支払わないので、退去を求めて提訴したい場合、契約書がないとどのような問題があるでしょうか。

 

1.契約書がないと、賃貸借契約が成立していないことになるのか?

契約とは、法律関係に関して、自分と相手の意思が合致することをいいます。そして、契約書という書類を作成しなければ、必ずしも契約は成立していないというわけではありません。いわゆる口約束でも、合意がある以上は契約として成立することになります(「諾成契約」といいます。)しかし、一度もめてしまうと、裁判では、契約が有効であると主張する側が、契約の内容など証明して明らかにする必要があります。例えば、「前に貸した10万円、返してよ」と請求したときに、「記憶にございません」などと相手が否定した場合、貸主は、自分が10万円を貸したという事実を証明する必要があります。この場合、借用書もなく、現金で手渡したときは、証拠不十分ということになります。なので、正確にいうと、口約束でも契約は成立するが、相手と揉めたようなときは「成立していないのと同じ」ということになります。なお、すべての契約が口約束だけで成立するような契約(「要物契約といいます」)もあります。また最近はSNSでのやりとりや会話内容を録音することで証明する場合もあります。

 

 

2.不動産賃貸借の場合

不動産賃貸借の場合、契約期間が年単位であり、月額家賃も万単位であることから、通常は「賃貸借契約書」を取り交わすのが一般的な取引慣行です。しかし、契約書を取り交わしていなくても、自分が所有する建物に対して、入居している人が存在し、口約束でも賃料の取り決めをしている以上は、賃貸借契約は成立することになります。逆に、賃貸借契約が存在しないのであれば、建物を使用している人は不法占拠者ということになります。

3.契約書の紛失や借主が死亡していることは、賃貸借契約の効果に影響あるのか?

契約書は取り交わしたものの、時間が経過して見つからずに紛失してしまったような場合、紛失したことで賃貸借契約の効力がなくなるということはありません。また借主が死亡しても、賃貸権という権利は借主の遺産として、相続人に相続されることになります。

 

 

4.実際の手順

契約書が存在しなくても、実際に入居している人がいて、家賃が支払われていない以上、入居者に対して明渡しを求めることは法的に可能です。しかし、契約書が存在している場合よりも、手間暇がかかり、かなりのコストがかかることは否めません。

❶相手方(被告)の特定

言うまでもなく、まず相手を特定しなければいけません。裁判の場合は、住所と氏名で特定する必要があります。なぜなら、判決の効力は被告とされている人にだけ及ぶのが大原則だからです。

❷入居者がハッキリしない場合は?

第三者に転貸しているとか相続などで、当初入居していた人とは別の人が使用していることもあります。このような場合は、家賃が誰の名義で支払われているか、郵便受けや表札を確認してみてください。公共料金を入居者が個別契約している場合には、費用はかかりますが、弁護士会を介して電力会社や水道局に対して、契約者を照会することも可能です。

❸家賃がハッキリしない場合は?

契約書もなく、入居してから一度も家賃を支払っていないというケースは考えにくく、大概は直近の支払金額をもって、月額家賃と認定されます。

❹入居者がどうしても判らないときは?

相手方不詳ということで、建物の占有移転をさせないための仮処分をまず申立てます。この場合、執行官が現場に臨場し、本人が不在でも強制開錠して室内に立ち入り、中の状況を確認して使用者の認定をします。ここで使用者として認定された人が裁判の被告となります。認定された使用者が、後になって他人に又貸ししても、又貸しされた人は、判決の効果には抵抗できません。当然ながら、かなりの手間暇がかかりますので、仮処分の申立ては最後の手段となります。

 

5.今からできることは?

 

 

①賃貸借契約書の取り交わしや契約書の更新

特に契約書は取り交わしていたものの、借主の死亡や離婚などで変更があるときは、必ず今の入居者と取り交わすようにしてください。そうしないと、借主の法定相続人全員とか、離婚した元配偶者を被告にする事態になりかねない上、保証金の扱いも煩雑となってきます。

②借主の特定

賃貸借契約書の取り交わしを求めることは、入居者に抵抗される可能性もあります。そのような場合は、借主の特定だけでもしてください。この場合、免許証や保険証に書いてある住所・氏名・生年月日も控えて、本人確認を必ずするようにしてください。それでもなお抵抗するような人に対しては、退去も辞さないくらいの態度で臨む必要があります。

 

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