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2018年12月14日

「怖い相続の話-実際にあった話」

相続という、両親のいずれかが亡くなり、親の遺産を子ども達で分けるとイメージされる方が多いと思われます。
ところが、結婚をしていない人や、結婚をしているけど子どもがいない人が亡くなった場合は、相続人の範囲が異なってきますし、状況によってはかなり拡がって多人数となる場合もあります。

1.事例の紹介

➊子どもがいない遠い親戚夫婦がおり、高齢者用分譲マンションを購入して2人で住んでいました。マンションの名義は、夫の単独名義となっていました。しかし、平成20年までに夫→妻の順で夫婦とも亡くなりましたが、マンションの名義は夫の名義のまま変わっていませんでした。 
❷夫婦とも亡くなってから数年後に、マンションの管理会社から、管理費や共益費などの請求書が、法定相続人に送られるようになりました。
 しかし、相続者はダイレクトメールだと思って開封せずに捨てたところ、やがて裁判を起こされました。しかし相談者はこれも詐欺だと思い、訴状や裁判期日も無視していたら、欠席判決をされてしまい、相談者には延滞金などを含めると3000万円を超える支払いが命じられていました。
 判定書を受け取った相談者も、本物かどうか弁護士に相談して確認することにしました。
 判決書など書類は本物で、管理会社も実在するものでした。
 

2.その後の処理

➊控訴手続
 まずは、控訴手続です。これをしないと3000万円の支払命令が確定し、全財産を投げ打っても支払う必要があるからです。
 控訴は、一番の判定書を受け取ってから2週間以内に。控訴状を一審裁判所に提出(裁判所に必着)する必要があります。
 運良く、相談日から期限まで一週間ほどあったので、間に合いました。
 

❷相続放棄
 次は、相続放棄です。相続放棄の手続をとれば、原則として相続手続から脱退し、被相続人の債務の受け継ぎを免れるからです。しかし、相続放棄は、相続の事実を知ってから3か月以内という期間があります(民法)。
 本件の場合、起算日をどんなに後ろにもっていっても、訴状を受け取ったときになります。訴所は受け取っている以上、内容を見たかどうかは理由にならないからです。
 ところが、相談された段階で、訴状を受け取ってから2か月以上経っていました。
 遠い親戚なので、必要な戸籍の多くが県外にあることから、依頼者には最優先で戸籍の取り寄せをしてもらい、かなり際どいところで相続放棄の手続きをすることができました。
 相続放棄の手続が認められないと、一審の判決内容が変更される余地がないので、ここが最大のヤマ場です。

➌裁判の応訴
 通常、相続放棄の手続をすれば、相続人の地位から脱退したことになります。しかし、本件のように、死亡してから数年経っていたり、その間に請求書が送付されることで相続の事実を知っていたか、あるいは容易に知ることができる場合には、脱退が認められない場合があります。
 控訴審でも、管理会社は、相続放棄は無効である旨主張をしましたが、最終的にはいくらか解決金を支払って相続放棄は有効であることを確認して和解しました。


3.注意点
➊自分が相続人になる可能性の確認
 身内(少なくとも自分の両親の兄弟姉妹(おじ、おば)までは)に未婚か子どもの
いない人がいないか確認しておいた方が無難です。

❷郵便物等については、むやみに捨てない
 ダイレクトメールが氾濫する昨今ですと、取捨選別が難しいところはあります。
 普通郵便だと配達したことの記録が残らないので、請求書が送られた覚えはないと主張しても通りやすいです。
 しかし、配達の記録が残る郵便物や運送業者の配達物については、注意を要します。なぜなら、請求書が配送されたことが証明されると、開封しなかったことは理由にならないからです。
 特に差出人が、裁判所や弁護士、金融機関などの場合は必ず開封してください。
 本件では相続人の大半が、管理会社からの通知を受け取った段階で相続放棄の手続をしていました。
 
➌被相続人が、実は誰かの保証人になっていたような場合にも、金融機関などが、今回の管理会社と同じような手続を執ってきますので、同じような注意が必要です。

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