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貝沼ニュース・コラム

過去のテナントが残した残置物の取り扱いについて

  • 法律講座

2018年6月14日

1.残置物の権利関係
→貸主は応じる義務はあります!


「残置物」の所有権は、過去のテナントが権利放棄したも
のといえます。そして、それが客観的に(端から見て)「付
帯設備」として建物と一緒に賃貸されている以上、賃貸借
の目的物の一部を構成するものとなります。よって、貸主が
修繕義務を負担するのが大原則となります。
したがって、貸主が「自分のものではないから」と言っても、
今のテナントに対しては通らないことになります。
そのため、貸主が修理に応じないことを理由に、今のテナ
ントが業者を手配して修理した場合、貸主は修理費を負担
する義務があります。
また、今のテナントが業務に用いるような残置物の場合、修
理に応じないことを理由に賃料の減額を請求されたり、場
合によっては休業損害などが発生する場合もあります。

2.残置物がある場合の契約内容について

過去のテナントの残置物がある状態で、新しいテナントと賃
貸借契約をする場合、重要事項説明書や賃貸借契約書
に、その備品が「残置物」だという説明をし、それについて
は貸主は修繕をしないことを特約として明記しておく必要
があります。
もっとも、契約内容、例えば何でもとにかく修繕は借主負担
とするようなものは、消費者保護法に反するとして、特約が
無効となる場合もありますので、注意が必要です。

3.そもそも残置物を残させないことが大事です!

①残置物設置について同意すると→貸主に買取義務が
発生する可能性あり!

特に貸倉庫の場合、テナントが入居中に、事務所スペース、2階
部分などを設置したり、床のコンクリート部分を張り替えする場合
があります。またテナントが飲食店を営む場合、厨房設備関係、棚
やダクト、空調設備等を設置する場合があります。事前にテナント
から打診があり、貸主が設置に同意すると、テナントが退去すると
きに、設置物について買取請求権が発生する場合があります。
このような場合、同意するにしても、買取請求には応じないなどの
念書を作成しておくのがよいです。大がかりな設置物なら、保証金
の増額も要求すべきです。

②テナントが勝手に設置したら?→解除も検討、しかし現
実は難しい…

テナントが勝手に設置した場合、無断増改築を理由に貸主から解
除できる内容の契約書が多いです。しかし、貸主から契約を解除し
て、テナントがすんなりと応じることはありません。テナントは設置す
るについて資金を投入しているから当然のことです。
そのような場合、保証金の増額を要求し、応じなければ解除するこ
とを検討すべきでしょう。

③退去時には毅然とした態度で撤去を求める!
テナントの資力に問題がない場合、テナントが設置した物について
は、「すべて」撤去するように求めてください。
鍵を受領すると退去したことになるので(賃料支払義務がなくなり
ます)、残置物が多いときは、鍵の受領を拒否します。

④残置物がある場合、次のテナント募集に影響が出るこ
ともあります。

特に、次のテナント候補が役所の許認可が必要な業種の場合
(例えば医療や介護事業所関係など)、残置物があることで許可
基準を充たさず、やむなく借りるのを断念するという例もあります。
くれぐれも、次のテナントにもあった方が便利だろうという安易な考
えで、テナントが退去するときに「そのままでいいよ」などと言わない
でください。


4.残置物が残ってしまったら?

例えば次のテナントが居抜きのまま飲食店を営む場合や、テ
ナントの資力不足で撤去費用がまかなえず、やむを得ず残
置物があるまま、次のテナントに貸すこともあると思います。
①その場合、2のように残置物であることを契約時に明記
する必要があります。
②しかし、それ以上に、どのテナントが、何を残置したのか
をしっかりと確認して写真撮影するなどして記録しておくこ
とが大切です。

この確認が不十分だと、今のテナントが退去する場合の
原状回復をどこまでするのかでトラブルになります。
例えば、この設備は今のテナントが設置した物ではなく、
借りたときから元々付いていたなどと主張した場合、貸主
が今のテナントが設置したものであることを証明できない
と、今のテナントは原状回復をしなくてもよいことになってし
まいます。

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