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​ 自筆遺言書の日付と押印について

  • 法律講座

2017年12月14日

知っておきたい法律講座
不動産に関する法的な話題とその事例を紹介し、わかりやすく解説します。

 


自筆遺言書の日付と押印について
自筆遺言書には、民法により厳格な要件が決められています。
ただあまりにも厳格すぎるので緩やかに改正すべきであり、現在法制審議会で改正内容が検討されています。
しかし、裏を返せば改正された法律が施行されるまでは今の要件を充たしていない遺言書は無効ということになります。


今回は、自筆遺言書の要件の中でも、➀日付と②押印について、裁判例を踏まえて説明します。
この2つに問題があると、遺言書「全体」が無効となってしまうので、かなり注意を要するのです。



1.日付け
(1)なぜ必要か?
遺言の成立の時期を明確にするためです。
 遺言書に書かれている日付を基準として遺言者が判断能力を持っていたのか、複数の遺言書がある場合の優先性などが判断されます。

(2)問題となるケース
➀「8月吉日」と書いた場合→無効(最高裁判例)

 この場合は無効となります。
 この最高裁判例からすると、「8月」と日にちが書いていない遺言書も無効となります。

②「6月31日」と書いた場合→微妙
いわゆる小の月でもあるにもかかわらず、「31日」と記載した場合の裁判例は見当たりません。
「末日」という記載で、その月の月末という意味で有効とした裁判例はありますし、そうしますと②の場合も「6月30日」とする余地もあります。しかし、そのような遺言書を添付して法務局が相続登記を受理しない可能性も高く、かなりリスクが大きいです。

③「昭和56年」と書いた場合→有効(下級裁判例)
「昭和」と記載すべきところを「正和」と記載したことが明らか誤記とされたものです。

④意図的に別の日にちを書いた場合→無効
年単位ですが、意図的に日付をさかのぼらせて記入したとして無効になった裁判があります。

(3)年月日の記入は正確に!
いずれにしても、「年月日」は元号(西暦でも構いません)も含めて正確に書いてください。



 


2.押印
(1)なぜ必要か?
 遺言の全文等を自書したことが、遺言者本人が書いたものであり、また真意であることを確保するとともに、重要な文章については作成者が署名した上その名下に押印することによって文章の作成を完結させるというのが我が国の慣行だからです。

(2)問題となるケース
➀「三文判」で押印した場合→有効
 意外でしょうが、実印ではなく、三文判で押印も有効なのです。
 民法は「実印での押印」となっていないからです。
 しかし、三文判と実印では重みがまったく違うので、「実印」で押印するようにしてください。
「指印」している場合→有効
(最高裁判所)
 
押印ではなく、指印されている場合でも有効とするのが最高裁判例です。
 しかし、遺言者の指紋なのかどうかという問題が出てくるので、どうしても押印ができないような場合でなければ、印鑑で押印するのが無難なのは言うまでもありません。

③「花押」している場合→無効(最高裁判所)
 押印ではなく、花押が書かれている場合ですが、近時無効とする最高裁判例が出ました。
④他人が代印した場合→ケースバイケース
 遺言者が代印を委託したことが明らかな場合には有効とした下級審判例はありますが、遺言者本人が押印すべきであることは明らかです。
 


3.日付の記載と押印のタイミングは?
遺言書の完成は、すべての要件がそろったときです。
 例えば、4月1日に遺言書えお書き始め、遺言書の日付を「4月1日」とし、4月5日に最後に押印した場合、遺言書の完成は4月5日であり、作成日付と遺言書完成の間に4日間空くことになります。
 しかしながら、遺言書に書かれている日付と実際に押した日が数日ずれる分には最高裁も有効と判断していますが、何日間のズレまでなら有効となるのかは明らかではありません。
ただ最高裁判例には「日付」以外はすべて記載して署名して押印もし、その「8」日後に「当日の日付」を書いた場合は有効としたものがあります。
 このように、日付については実は難しい問題もあることから、自筆遺言書は同一日に書き上げ、実際に書いた日を日付として記入し、その日のうちに署名と押印をするのが理想なのです。

 

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