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賃借人が滞納しても、家賃保証会社が代わりに滞納分を支払った場合に、賃貸借契約の解除ができるのか

  • 法律講座

2019年11月29日

賃借人は、3か月間家賃の支払いをしません。しかし、契約には保証会社による6か月分までの家賃保証がされており、オーナーには、賃借人に代わって保証会社から家賃が支払われているので、オーナーからすれば滞納(未回収家賃)がありません。
 ところが、保証会社は、残り3か月分の家賃を一括してオーナーに支払うので、以後、賃借人の保証はしないと言ってきました。
 その後、2か月が経ちましたが、賃借人は家賃の支払いをしません。

 この場合、オーナーは、賃借人に対して、滞納を理由として、賃貸借契約を解除して明渡しを求められるのでしょうか。

1.何が問題なのか?
この事案だと、賃借人自身は5か月分の滞納をしていますが、オーナーは保証会社
からすでに6か月の家賃が支払われているので、そもそも滞納という事態が発生していないのではないか?というものです。
 
2.家賃不払いで賃貸借契約を解除できるのは、どんな場合か?
多くの賃貸借契約書には、以上滞納したときは、何ら通知をせずに契約を「解除することができる」とされています。これを無催告解除といい、民法の特約にあたり、最高裁判例でも、一定の要件(長時間の滞納や不信行為など)で認められています。
 それでも、「解除することができる」となっているので、あくまでも賃借人が「解除します」という通知をすることが必要です。
 したがって、家賃の不払いがあったからといって、当然に賃貸借契約が解除されて終了するわけではありません。
 そして、裁判では1か月分の滞納のみでは、解除は有効とは認められません。

3.そもそも滞納といえるのか?
 ましてやこの事例の場合、オーナーは将来1か月分の家賃を受け取っているので、家賃の未払いはないともいえそうです。
 実際にも、賃借人自身は滞納していても、「連帯保証人」が家賃を支払ったよう場合は、賃料不払いにはなりません。
 これは、連帯保証人はオーナーと直接連帯保証契約を締結しているからです。
 しかし、保証会社は、あくまでも賃借人との間で保証委託契約をするのが通常であり、オーナーからすれば滞納状態が解消という効果は同じではないかといえそうです。
 こうしたことから、連帯保証人や保証会社が滞納分を支払っているような場合、裁判所は将来的に滞納状態になったときは契約解除して明渡しができるという内容で和解を勧めるのが多くのケースでした。

4.オーナーは、このまま実際に滞納となるまで待たなければいけないのか?
裁判では、実際には2か月分以上の滞納にならないと、すんなりと明渡しを認める判断を出してくれません。しかし、提訴する時点では2か月分でも、判決が出るまでには4か月分となり、強制執行して最後まで追い出すとなると、滞納が6か月分を超えているのが通常です。
 保証金が差し入れてあるとしても、滞納者は残置物を残して退去することが大半で、その処分費すら賄うことができません。
にもかかわらず、オーナーの懐に入らない滞納が発生するまで指をくわえて待つというのは不合理なことです。
 

5.最近の裁判所
 この件について、平成25年11月22日に大阪高等裁判所が「保証委託契約に基づく保証会社の支払は…賃借人による賃料の支払いではないから、賃借人の賃料不払の事実が消えるものではなく、債務不履行の判断に当たり、代位弁済の事実を考慮することは相当ではない」と判決しました。
 そのため、オーナーには保証会社から支払われて滞納はなくても、賃借人自身が滞納している以上、賃料不払いによる契約解除と明渡しの請求が可能となりました。

6.結論
 したがって本事例の場合、賃借人自身の不払いが5か月分もあるので、オーナーは賃借人に対して、滞納を理由として、賃貸借契約を解除して明渡しを求められることになります。
 オーナーによる損失を少しでも抑えるためにも、保証会社による一括払いを受けた時点で賃借人に対して直ちに契約解除と明渡しを求め、賃借人が応じなければ速やかに提訴するのが得策といえます。

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